本研究では、身体接触性の高いデバイスとユーザの間に埋め込まれた環境・行為に注目し、それらを理解・応用することによって利用者の生活を補助する枠組みを提案した。具体的には、以下の2つの課題に取り組んだ。1. 身体接触性の高いデバイスとユーザの間に埋め込まれた行為を理解するセンシング技術と、行為に応じて振る舞いを変えるためのプログラミング環境をツールキット化すること。2. 1.によってツールキット化された環境をもちいてユーザテストを行い、その使われ方を知識化すること。 1. については、イヤフォンにセンサを埋め込みデバイスとユーザ間に埋め込まれた行為を検出するための技術開発を行った。具体的には、イヤフォンに近接センサや加速度センサ、カメラなどを埋め込むことを試行し、それらセンサによって抽出可能な行為について検討を行った。また、スマートフォンを用いて、それらのセンサデータを受け取り、その振る舞いに応じてスマートフォンの操作を行うための技術的検討を行った。 2. については、研究の方向性をやや修正し、普段からイヤフォンを使う利用者の観察を通して、イヤフォンと利用者間のインタラクションおよび、そのインタラクションと利用状況の関係性を調査した。その結果、イヤフォンのように身体接触性が高いものの、常時身につけているわけではない、いわばハーフウェアラブルと言うべきデバイスと利用者のインタラクションを利用することで、従来よりもリッチな状況理解が可能になることが示唆された。
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