研究課題/領域番号 |
25730126
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 公益財団法人九州先端科学技術研究所 |
研究代表者 |
吉永 崇 公益財団法人九州先端科学技術研究所, その他部局等, 研究員 (10598098)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 医療支援 / 計測 / コンピュータビジョン / 超音波診断 / 可視化 |
研究概要 |
今年度は、距離画像センサーKinectを用いた3次元認識手法を中心に調査・研究し、プロトタイプの試作を行った。また、Kinectで認識したプローブの姿勢推定を補助するための慣性センサーの活用についても研究を行った。当助成金は主に上記の研究を遂行するための調査および機器の購入に当てられた。 1.距離画像センサーを用いた物体認識――距離画像取得の手段として安価・簡便なKinect(Microsoft社)センサーを採用。同センサーでは3次元情報だけではなくカラー画像も同時に取得できる。本研究では、手で把持されたプローブを検出して3次元位置を計測するため、カラー映像から肌色領域を抽出することで手の認識を行い、手の周辺の3次元の点の集合(ポイントクラウド)のみを距離画像から取得することで把持物体の3次元位置を検出できることを確認した。なお、これらの研究を遂行するための調査を目的として複数の学術会議に参加した。 2.慣性センサーを用いた姿勢推定――ポイントクラウドのみを用いた物体の姿勢推定による計算負荷を軽減するため、加速度や各速度を同時に計測できる慣性センサーを併用することとした。今年度は計測値から推定した慣性センサーの姿勢の精度を光学式センサーで計測したものと比較し、概ね良好な推定結果を得られることを確認した。 3.超音波診断装置の選定――超音波診断を支援することを目指した研究であるため診断装置を購入した。その際、多くの現場で利用されているだけでなく、形状面で最も特徴的なコンベックスプローブを接続可能な診断装置を選定対象とした。さらに、遠隔医療への応用の際にリアルタイムに診断画像を転送することも考慮し、画像出力端子を搭載していることも選定条件とした。その結果、フクダ電子のUF-760AGが最適であると判断して購入した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.初年度の主目標である距離画像センサーを用いた把持物体の位置取得の基本的な技術は、カラー画像処理技術と距離画像を活用することにより実現の可能性が見出された。さらに安定化・高精度化に向けた研究を継続することで予定通り、従来研究の成果よりも容易なプローブの位置計測が可能になることが期待できる。 2.さらに、本研究の最終年度に行う予定であった撮像支援ARシステムとの融合において、従来研究の成果では不可能だった[コンピュータグラフィクス(撮像補助情報)]と[実物体(手やプローブ)]との前後関係の表現にもポイントクラウドが活用できることもシステム試作により確認でき、想定以上の成果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
1.先端形状が特徴的なコンベックスプローブ(H25年度購入済)を対象に位置・姿勢推定精度の検証および高精度化に取り組む。 2.患者体表形状をポイントクラウドから自動的にモデリングし、撮像支援に利用することを目指す。ただし開発段階での被験者への負荷を極力減らすため、基本的には現在所有している腹部ファントムを使用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
超音波診断装置の購入価格が予定より高額になり、それに伴って旅費の節約を行ったため結果的に次年度使用額が生じた。 平成26年度は、成果発表および調査のための旅費、被験者への謝金、エコー用ゼリーなどの消耗品購入で使用する予定である。
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