研究課題/領域番号 |
25730131
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
笹野 遼平 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教 (70603918)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 格交替 / 格フレーム / 受身・使役 / 知識獲得 |
研究概要 |
本研究の目的は,動詞・形容詞ごと,また,そのヴォイスや用法ごとに個別に構築された格フレーム間の対応付け知識を,格フレームの用例の類似度等に着目することにより自動獲得することで,異なる表層格構造をとる動詞・形容詞間の同義・含意関係や,共通の意味役割を持つ項を明らかにすることである. 本年度は主に受身および使役形の格フレームと能動形の格フレーム間の対応付け知識の獲得に取り組んだ.具体的には,受身形と能動形,および,使役形と能動形の間の格交替において交替する格はたかだか2つの格であり,格交替のパターンは限定的であることに着目し,起こりうる交替パターンを人手で記述した上で,69億文から構築した大規模格フレームから得られる類似度情報に基づいて格の対応付け知識の獲得を行った.さらに,自動獲得した知識を受身文および使役文の能動文への変換における格変換タスクに適用し,自動獲得した知識の有用性を確認した.具体的には,自動獲得した知識を用いることでにより,受身文に対しては95.6%,使役文に対しては87.2%という先行研究の精度を有意に上回る精度で能動文における格を推定することが可能であることを示した. さらに,「問題を解く」と「問題が解ける」のような可能動詞化や,「ドアが閉まる」と「ドアを閉める」のような自他交替,「餌を食う」と「餌に食いつく」のような動詞複合により表層格構造が変化した動詞・形容詞間を対象とし,格交替パターンの分析を行い,これらの項の対応関係に関する知識の自動構築に向けた予備的な調査を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
受身形格フレーム,および,使役形格フレームについて,能動形格フレームと対応付け,また,その有用性を示すことができているため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は対応関係の獲得対象とする格フレーム対の種類を増やしていく予定である.具体的にはすでに扱った受身・使役形格フレームと能動形格フレーム間の対応付けに加えて,可能動詞化や自他交替,動詞複合により表層格構造が変化した動詞・形容詞間の項の対応関係を明らかにしていく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
現状で使用できる計算機環境で,本年度の研究を進めていく上で必要な計算を行うことが可能であったため,当初の予定より物品購入費が少なくなったため. 研究を進めていく上で必要になった時点で計算機環境を増強していく予定である.
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