本研究では、同時通訳や字幕生成などの音声言語アプリケーションによって必要とされる新たな漸進的係り受け解析器を開発した。本解析器は、文節が入力されるごとに、既入力の文節間の依存関係、及び、係り先が未入力の文節に対しては既入力の文節との非依存性を同定する。また、係り先が未入力の文節が複数ある場合は、それらの係り先が同一か否かを同定する。次に、漸進的係り受け解析器の性能改善を目的に、人間の言語処理過程を表出した大規模データを構築し、人間による言語解析の能力や振舞の一端を明らかにした。さらに、話し言葉に対する係り受け解析精度の向上を目指して、係り受け解析と語順整序を同時に実行する手法を開発した。
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