研究課題/領域番号 |
25730143
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
北村 光司 独立行政法人産業技術総合研究所, デジタルヒューマン工学研究センター, 主任研究員 (50509742)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | データ融合 / 正準化 / 写像 / リマップ |
研究概要 |
本研究では、社会に薄く広く存在しているために統計的な分析による問題把握が困難であった対象に関して、それぞれの環境における重要な特徴は保持しつつデータを集約して分析可能なシステムを開発することで、認識されていない問題、稀な現象と誤認されている問題、潜在的な問題を発見することを支援することを目指している。初年度は、主にデータ入力・分析用のソフトウェアの開発を行った。ソフトウェアは、GIS技術をベースとした現象記述機能、適切な写像を可能とする状態空間の設計機能、状態空間表現を用いた問題構造モデリング機能、データ集約による統計分析と個別環境へのリマップ機能の4つの機能から構成される。 データの入力に関しては、個別環境の間取りや配置してあるモノなどを定義して地図を作成し、その上にそこで起きた現象を記録できるシステムとした。入力した状態では、個別環境で起きた起きた情報になってしまい、統合やリマップができないので、複数環境で共通した表現系での表現に変換するための状態空間の設計・モデリング機能を開発した。具体的には、環境やその環境に配置されたモノが持つ特徴や空間的な特徴からユーザが選択することで状態空間の設計を行う。その際、その状態空間が適切かの評価はそのままではできないため、設計した状態空間で表現されたデータを用いてモデリングまで行い、そのモデルに基づいてデータの統合や他環境へのリマップを行うことで評価を行うことができるように、状態空間の設計からデータの統合・リマップまでを一貫して行える機能を開発した。モデリングに関しては、ベイジアンネットワークモデル構築用の外部ソフトウェアと連携することで機能を実現している。データを統合して、ある標準フォーマット(標準環境)に集約したデータに関して、空間的なクラスタリングを行うことで、統計的な分析を行う機能を実装した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標は、データ入力・分析可能なソフトウェアを開発することが主であり、それを十分に達成している。また、今までに収集してきた、家庭内での子どものヒヤリハットデータを実際にソフトウェアに入力して、機能の動作確認まで行えているため。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の目標の1つ目は、初年度にソフトウェアの検証に用いたドメイン以外のデータを用いて、データ入力から分析まで行い、特定のデータのみに有効なシステムではなく、汎用性があるシステムであることを検証する。主に介護施設における事故やヒヤリハットのデータを扱うことを計画している。2つ目は、システムを用いて分析した結果の提示方法や活用方法について検討し、どのようなアウトプットの出し方が、問題の把握、対策の考案、ガイドラインの作成、教育プログラムの作成に役立つのかを検討する。
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