解が不定で多峰性のランドスケープを有する多変数関数の最適化問題に対して、既知の少変数から未知の多変数で構成される解を推定する進化計算の手法を開発し、ポートフォリオの複製問題に適用することが本研究の目的である。 平成25年度は、等式制約付き最適化問題において、制約が付加されることにより発生している進化計算の探索鈍化の問題を改善するため、等式制約の一部を無制約化することに着目したモデルを提案し、進化計算によるポートフォリオの複製においてその有用性を確認した。 平成26年度は、平成25年度に提案したモデルに関して二点の拡張を行った。まず、提案モデルは一部の探索空間のみ無制約化するため、この無制約化できる空間を三角関数を利用して拡大した。次に、提案モデルでは解決することができなかった不定解の集合の中から真の解を見つける、つまり少変数の情報から多変数で構成される解を複製するという問題に対して、進化計算で探索すべき少変数の抽出方法をエントロピー、実験計画法、自己組織化マップを用いて検討を行った。 実験的な結果として、進化計算の探索過程において実験対象期間の設計変数値の分散が大きい変数から順に定数化し、探索すべき変数の集合から除外する方法により、これまで探索において焦点の当たっていなかった変数まで適切な値を探索できることを示した。多変数で構成されるポートフォリオ最適化問題における進化計算の探索の特徴に関して一つの知見が得られたと言える。本成果は平成27年度中に発表予定である。
|