研究課題/領域番号 |
25730153
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人水産大学校 |
研究代表者 |
徳永 憲洋 独立行政法人水産大学校, その他部局等, 助教 (00432956)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 成長型ニューラルネットワーク / 自己組織化マップ / ニューラルネットワーク |
研究概要 |
平成25年度は,これまでの研究で申請者が提案し開発してきたベイズ理論ベースの成長型ニューラルネットワーク(GTR)を基盤とし,GTR の学習アルゴリズムを実践に即すよう改新することを目的とし研究を行った.具体的には(1)確率ベースでノードの挿入を行うメカニズムを導入させたアルゴリズムの開発,(2)余剰ノードとエッジをマージするアルゴリズムの開発,(3)成長型ニューラルネットワークの応用課題への適用,を行った.GTRの学習アルゴリズムだけでは計算に時間がかかるためロボットなどのリアルタイム性が求められる課題には不向きであった.そのため(1)において,GTRの学習アルゴリズムを基盤とし,確率ベースでより軽快に動作する学習アルゴリズムの開発を行った.具体的にはノードの挿入やエッジの挿入を確率ベースで制御させるアルゴリズムを提案した.この学習アルゴリズムはGTRに比べて30倍近く早くなった.さらに(2)のアルゴリズム開発によって,余分なノードやエッジを形成することがほぼなくなり,学習結果に一貫性が保てるようになった.(1),(2)によって開発された新しい成長型ニューラルネットワークと従来の成長型ニューラルネットワークの比較実験(教師あり分類と教師なし分類の実験)を行った結果,新しい成長型ニューラルネットワークは従来手法よりも分類精度が上がるだけでなく,余分なノードやエッジを形成しなかった.これにより従来手法よりも性能も使い勝手も良い学習アルゴリズムが開発できたと示唆された.さらに(3)では,色量子化の課題やロボットの成長課題などに成長型ニューラルネットワークを応用させた.色量子化の課題では,本手法を利用することで画像内において少量にしか使われていない色も残したまま量子化をすることができた(従来の量子化法では,少量の色は残らない).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画は、GTR をベースにした実用性の高い新しい成長型ニューラルネットワークの開発することであった。 結果、本年度中に新しい成長型ニューラルネットワークを開発することができた。この新しい成長型ニューラルネットワークの計算時間は、GTRに比べて大幅に少ない。そのためリアルタイムに学習を要求されるロボットの成長課題などに適用することが可能となるレベルまで改良されたといえる。また、学習の安定性が非常に高い。これらの結果から実用性の高い成長型ニューラルネットワークが開発できたといえる。 以上のように、計画は予定通り遂行された。現在論文を執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、平成25年度で開発された新しい成長型ニューラルネットワークをもとに最適構造へ自己組織的に成長する自己成長型モジュラーネットワーク(SEEM)の学習アルゴリズムを開発することを目標とする。 研究を遂行する上での課題・問題点:新成長型ニューラルネットワークはデータ間の距離をもとにネットワークが成長するが,SEEMでは機能の類似度をもとにネットワークを成長させる.このため機能の類似度をどのように定義するか、ノードやエッジのマージアルゴリズムをどのように定義するか、などを考慮する必要がある。これについては、申請者の以前の研究であるモジュラーネットワーク型自己組織化マップをヒントに距離測度を定義する考えである。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は主として成長型ニューラルネットワークの学習アルゴリズムの開発を行った。これらの研究作業は筆記用具とノートと計算機で行うため、こららの物品を購入した。また研究が基礎的な段階からスタートしたため、旅費を使用することがなかった。そのため次年度に使用する研究費が発生した。 平成26年度は25年度の成果を踏まえ、対外的な発表を積極的に行う予定である。これにかかる費用として物品費(計算機)や旅費(国際会議)、雑誌投稿にかかる経費などに使用する計画である。また、本研究を推進するにあたり、独立行政法人水産大学校海洋機械工学科4年生数名を研究協力者とする。研究協力者は提案手法のプログラム開発と検証実験を行う。このため研究協力者の計算機に関わる物品費、発表に関わる旅費や学習データのサンプリングにかかわる謝金などに経費を使用する。
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