平成27年度は最適構造へ自己組織的に成長する自己成長型モジュラーネットワークのバックボーンとなる新しい成長型自己組織化マップの学習アルゴリズムを確立させた. 提案手法は,混合ガウスモデルをベースにした学習・成長メカニズムを有する.すなわち,提案手法はガウスカーネルをノード,カーネル間の距離(類似性)を表すエッジ,からなるグラフ構造のネットワークを持つ.ネットワークの成長はベイズ情報量基準をもとにコントロールされる.またガウスカーネルを超球状の多次元正規分布関数とすることで計算時間を大幅に短縮している.さらにノードのパラメータ更新は勝者ノードおよびその周辺ノードだけに限って更新を行うことで計算効率を上げている.このような効率化を施しても実用上問題がないことをいくつかの実験で確認している. 提案手法の有効性を確かめるために,従来の成長型自己組織化マップとの比較実験を行った.その結果,提案手法は冗長なノードを生成しにくく,従来の成長型自己組織化マップに比べて少ない学習サンプルで必要十分な結果を得るだけでなく,学習結果に一貫性があることがわかった.この結果から,リアルタイム処理が必要となるロボットの知識獲得などの実課題に安心して利用できることが示唆された. 本成長アルゴリズムは自己成長型モジュラーネットワークのバックボーンアルゴリズムとして採用も可能である.その際,ノード間の距離がモデル間の距離となるだけで,他の学習アルゴリズムを変更する必要もない. また,成果はまだ出ていないが,提案手法をロボットの知識獲得に利用するために実験装置などを作成し実験も試みている.
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