研究課題/領域番号 |
25730156
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村井 昭彦 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (90637274)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 筋骨格モデリング / ヒトの運動・動力学計算 / ポータブル運動計測 |
研究概要 |
1) ボリュームを持つ詳細筋骨格モデル(ボリュームモデル)の構築:従来のワイヤ筋モデルは筋の変形や干渉を考慮しないため,大きく変形する部分等で推定される筋-関節間のモーメントアームや筋活動が実際のものと大きく異なる.アナトモグラフィで開発されたBody Parts 3Dを基に,筋にボリュームを持たせた下肢の筋骨格モデルを作成した.該当モデルは精密に製作されたBody Parts 3Dのクレイモデルから,後の変形計算で問題が起きないよう,ポリゴンの整合性や連続性を注意しながら,妥当な計算コストで変形が計算できるようポリゴンリダクション,スムージングを行った. 2) ボリューム筋モデルとワイヤ筋モデル間の関連付け:Body Parts 3Dを基にしたボリューム筋モデルと,従来開発してきた詳細筋骨格モデルのワイヤ筋は異なる骨格モデル上に配置されているため,同じ骨格モデル上に射影する必要がある.ここではワイヤ筋モデルをボリューム筋モデル上に射影した.まず3Dモデリングソフト Maya上で両骨格モデルの共通の特徴点を設定した.そしてこれらの特徴点を基にモーフィングすることで,ワイヤ筋モデルと,Body Parts 3Dの骨格モデル上に射影した. 3) 運動中のボリューム筋の変形の計算の準備:ボリューム筋モデルの変形をキャラクタアニメーションにおいてリアルな皮膚変形を実現するために用いられるPSD 法をもとに計算する枠組みを計算ソフトMATLAB上で実装した. 4) ポータブル運動計測システムの構築:従来の運動計測は光学式モーションキャプチャ等大掛かりな装置を用い,提案する手法が簡易で精度の高い体性感覚情報推定を実現しても全体で大掛かりになる.ここではポータブルなIMUセンサや筋電計を用いて簡易に運動計測を行うシステムを構築した.今後様々な運動に適用し,その精度を確認する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデルの構築については,構築の環境を整備し,実際にモデルを構築し,交付申請書に記載した研究実施計画を実現した.変形計算については,計算の枠組みを計算・可視化環境を含め構築し,具体的なボリューム筋の変形結果を確認するのみである(26年度実施予定).また経由点に関しても計算の枠組みは計算・可視化環境を含め構築し,具体的な経由点の移動を詳細に確認するのみである(26年度実施予定).また交付申請書に記載していない,今後提案手法を広く使われるシステムとするためにポータブルな運動計測を行うシステムを構築した.
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今後の研究の推進方策 |
26年度は,25年度に構築した環境に様々な運動を適用し,提案するモデルで計算される筋の変形が妥当であることを検証する.並行して,提案するモデルで推定される筋の経由点を用いて運動から筋張力を推定する部分を実装する.そして,従来のワイヤ筋モデルと提案するボリューム筋モデルで推定される筋張力が異なることを検証する.また交付申請書に記載していない内容として,提案するモデルが有効なアプリケーションとして,関節を大きく曲げるような,筋力トレーニングが考えられるため,25年度に構築したポータブル運動計測システムを用いた該当運動の計測及び解析を行う.また,今まで運動解析に利用してこなかった心拍数等のデータも同時に計測し,体性感覚情報とその他生理的データの関係を解析する.また該当モデル及びシステムを基にトレーニングのためのバイオフィードバックシステムを構築し,その効果を検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
購入を予定していた足圧力分布測定システムにおいて,対象とする運動における耐久性を満たさないため,他のデバイスor手法を検討するため. 26年度予定しているカメラ付きヘッドマウントディスプレイとあわせて外力計測デバイスを検討,購入することで,対象とする運動に合ったポータブルな運動計測・解析システムの構築を行う.
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