研究課題/領域番号 |
25730158
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢口 裕明 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (00568115)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ウェアラブルセンサ / 行動認識 |
研究概要 |
本研究課題では,室内環境の静的構造と人間の操作対象となる可動構造や小型物体を人間の操作行動を通じて同時に認識し,モデル化していくことを目的とする.平成25年度は,人間の操作行動を計測,認識するための日常生活における人間の行動を阻害せず長時間にわたる行動記録を蓄積可能な装着型センサを作成し,基本となる人間の行動認識機能に関する研究を行った, 装着型センサの構築においては,頭部に三次元カメラ,頭部と体幹,両手足先の計6箇所に姿勢センサを配し,バッテリー駆動可能な小型計算機により日常行動のデータ習得が可能な全身装着型モーションセンサを作成し,実際に二人の被験者について日常生活行動のデータ取得を行い,アルゴリズムの提案に活用した.特にこれらの日常生活行動データの分類は,歩行を伴う場合,傾きが重要である場合,加速度が重要である場合とに分解され,また複雑動作ほど個人差が大きいという特徴を示した. 人間の行動認識に関しては,各姿勢センサの三次元姿勢を加速度,角速度,地磁気を用いたMadgwickフィルタにより推定を行うことで各部位の姿勢を推定可能としたほか,両足の加速度の周波数解析に基づく歩行状態推定,体幹の加速度積分に基づく歩行方向推定を行うことで人間の歩行移動状態と方向を同時に推定可能なアルゴリズムの提案を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は装着型センサデバイスの試作検討,センサデバイスを用いた行動認識と環境認識のアルゴリズム開発を目標としていた. 装着型センサについては当初計画通り全身装着型のセンサデバイスの試作,センサデータ取得機能および可視化機能の実装を行い,装着型センサを完成させた.特に制作したセンサデバイスを用いて様々な日常行動を計測可能となったため,今後の研究を円滑に遂行することが可能である. 行動認識については,日常行動データからの特徴解析,両手足先の姿勢推定,歩行パターン認識のためのアルゴリズム構築を行った.一方環境認識に関してはこれまで提案したものを用いたのみであった.これについては代表者はこれまで環境認識に関するアルゴリズム提案を行ってきているが行動認識についての基本機能が不足しており,行動認識を優先したためである. 以上のことから,全体の研究計画については概ね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究においては,前年度作成したセンサデバイス及びこれまでに提案した環境・行動認識アルゴリズムを用いて,行動と物体の仮説を関連付けた体系化と仮説切替型物体モデリングのアルゴリズム構築に取り組む. 行動と物体の仮説体系化に関しては,日常行動と物体の関連付けを人間が行い,行動種類をある程度限定することで問題領域を設定する.特に単純な計測だけでなく人間の行動認識も組み合わせた物体のモデル化手法について重点的に検討を行う. 仮説切替型物体モデリングについては,各仮説間の切り替えのために,行動の分類基準と判別法についての研究を重点的に行う.特に行動判別は前年度において解析された特徴を用いるだけでなく,機械学習を用いたより高度な判別手法の検討も合わせて行う. 最終成果として,モデル構築対象となる生活環境を模した室内において,複数のモデル仮説を切り替えつつ人間の行動に応じてモデルを構築する実証実験を行い,その効果を示すことを目的とする.
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