研究課題/領域番号 |
25730166
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
徳永 留美 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (80573914)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 影の知覚 / 明度知覚 / 明るさ知覚 / 多次元尺度構成法 / 照明認識 / 輝度勾配 |
研究実績の概要 |
当該年度は、影が人間の空間の明るさ知覚に及ぼす影響と空間の明るさ知覚が影の知覚に及ぼす影響について心理物理学手法による2つの実験を実施した。 影と空間の明るさが観察出来るように、実験刺激としては4つの区間に区切られた空間に、反射率の低い黒色の物体が置かれた。照明の強度と影の濃さは、4つの空間において独立に設定可能であり、実験では、照明の強度は3種類(B1、B2、B3)、影の濃さの強度は4種類(S1、S2、S3、S4)のいずれかが呈示された。空間の床、横壁、後ろ壁の明度は、4種類あり、いずれかの無彩色のマンセル色票が貼られた。左側2つの空間は基準空間とし、最も暗く影が濃い(B1-S1)設定と最も明るく影が濃い(B3-S1)設定が常に表示された。 被験者の判定は、基準空間の明るさの違いを100とした場合の右側2つの空間の明るさの違いを数値で応答することと、基準空間にある2つの影の濃さの違いを100とした場合の右側2つの影の濃さの違いを数値で応答することであった。被験者は6名で、照度と影の濃さの組合せで64パターンに対して、各9回の応答を実施した。 結果として得られた応答値は、多次元尺度構成法(Multi Dimensional Scaling,MDS)によって解析された。結果から、空間の明るさの知覚は、空間の照度と影の濃さに対応する2つの次元となり、影の影響があることが示された。影の濃さの知覚は、空間の照度と影と床面のコントラストの2つの次元となり、影の輝度に対応していないことが示された。これらのことは、環境が明るいと感じるか暗く感じるかは、単なる照度だけで決まらず、影の知覚にも依存していること、さらに影の知覚は、影部分の輝度ではなく、影以外の部分とのコントラストが決定していることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
影が人間の空間の明るさ知覚に及ぼす影響と空間の明るさ知覚が影の知覚に及ぼす影響についての実験実施、解析が順調に進んでいるので、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、空間の明るさと明度、影の知覚の3つの知覚の関係性を示すことを目的にしている。これまでに、空間の明るさと影の知覚については実験の実施と解析を実施したので、今後は、明度の知覚の解析を含めた3つの知覚の関係性を検討する。また、影の知覚と空間の明るさ知覚のモデルの構築を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた研究成果の国際学会における発表が実施できなかった為、当該助成金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果発表として国際学会参加、国内学会参加旅費として、実験の被験者協力としての謝金に使用する予定である。
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