本研究の目的は,深いレベルでの人間とコンピュータのインタラクションを設計する方法の開発である.本研究の課題は(1)感性や感情の心理的な反応に関するオントロジー構築,(2)インタラクションにおける共感的・同調的反応の検証である.平成26年度は学習ドメインでの感情に関するオントロジー,五感に共通した印象構造に関するオントロジーの構築を行うと共に,インタラクションにおける共感の演出について実験的検討を行った. 本研究のオントロジーを用いた共感として学習場面を想定しており,前年度までに試作した学習者の心的状態と感情理論のオントロジー記述の精緻化を行った.具体的には,感情の理論に基づいた感情概念の分類を加え,学習場面において有効に区別できるかどうかを検証した.次に,インタラクションにおける共感を演出するために,五感に由来する印象において共通構造を整理したオントロジーの構築を行った.具体的には,五感に由来する印象評価を行った文献を調査し,それらに共通する構造として通様相性の記述を行った. インタラクションにおける共感の演出については,ロボットによる演出方法について検討した.具体的には,共感を相手の心的状態を察知することと考えて,察知されやすい表現について人間同士のインタラクションを観察し分析した.オントロジーに定義した感情に基づいたロボットの表現と,インタラクションにおける共感との関係構造を明らかにすると共に,設計方法に関する知識をまとめることが今後の課題である.
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