研究課題
近年,衝突被害軽減ブレーキに代表される乗用車の事故被害を回避・軽減する予防安全技術に対するニーズが高まっている.そこで,本研究では後方からの乗用車の衝突事故を回避・軽減を実現するため,高い視認性を有する乗用車のリアデザインの提案を目的とする.その際,人間が人の顔に対して特異的に反応する性質に着目する.顔の表情の内,怒りを想起させる表情は,幸福を想起させる表情よりも検出が素早く行われるという結果が報告されている.以上を踏まえ,人間の怒り表情に対する知覚優位性を乗用車のリアデザインに,特に近年LED化が進み背系自由度があ上がっているテールランプのデザインに応用することで高視認性のリアデザインを設計できると考えられる.今年度は,研究実施計画の内,生理指標による本研究の妥当性検証のために昨年度実施した視覚探索課題中の脳波計測実験を行った.その結果,空間的注意が促進された際に確認されるN2PC成分が怒りを想起させるリアデザインの場合,幸福を想起させるリアデザインよりも有意に強く出現したことが確認された.またN2PC成分特有の反対側性が確認されたことからも本研究の仮説を支持する結果が得られた.以上前年度までの結果と併せ,人間の怒り表情に対する知覚優位性を乗用車のリアデザインに応用することで,高視認性の車のリアデザインを設計できる可能性に対する妥当性を感性指標・行動指標・生理指標から多角的かつ段階的に示した.
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