研究課題/領域番号 |
25730172
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
緒方 洋輔 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター, 流動研究員 (60641355)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 単純接触効果 / 感性的主観評価 / fMRI |
研究概要 |
本研究の目的は、運動・動作を美しく、または好ましく感じる際にどのような神経基盤によって表象されているかを明らかにすることである。特に本研究では、運動学習によって流暢に行えるようになった動作を美しく、好ましく感じる際に、運動学習の結果が感情・情動面にどのような影響を与えるかを行動学的側面から検討する。同時に、functional magnetic resonance imaging(fMRI)を用いて、その神経基盤を明らかにすることを主眼に置き,研究を行った。 平成25年度前期は予備実験としての行動実験を行った。行動実験では、①刺激の接触経験(単純接触効果)の有無②動作を実際に行うか、動作せず観察のみ行うかの2条件が動作の好ましさに与える影響を検討した。精神・神経疾患の既往歴が無い、健常者男女17人に対し、、①提示された指文字刺激と同じ動作を行うMove条件、動作を行わず、指文字刺激の観察のみ行うObserve条件からなる指文字刺激の反復提示と動作模倣② 指文字刺激を順次提示し、実験参加者に刺激に対する「好ましさ」得点の評価課題を課した。 行動実験の結果、Move条件刺激に対して、反復接触後の好ましさ得点が増加するという結果を得た。 平成25年度後期にはfMRIを用いた実験を行った。ここでは、①単純接触効果に関与する脳部位②動作の好ましさ評価に関与する脳部位③動作の流暢性と好ましさへの影響を反映する脳部位を同定することを目的とした。 方法として、行動実験の結果に基づき、同様のパラダイムでfMRI実験を行った。実験から得られた脳機能画像に対し、Statistic Parametric Mapping 8を用いた解析を行った結果、Move条件刺激に対する事後評価時に線条体、眼窩前頭皮質,下頭頂葉の活動増加が認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は研究計画で予定していた、行動実験・fMRI実験を行い、現在詳細な解析を進めている。また、得られた成果に関してはSociety for Neuroscience Annual meeting 2014や、日本神経科学学会大会Neuro2014などで発表予定であり、解析が終了次第成果を学術論文にまとめ、投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、前年度の実験から得られた結果を更に脳部位間ネットワークへ拡張すべく、Dynamic Causal Modeling を適用し、脳領域間 の機能的ネットワーク結合様式を検討する予定である。 この解析から、知覚経験、運動経験が脳内でどのように処理され、好ましさとして表象されるかについての、脳部位ネットワークと情報処理様式が明らかになる。 これらの解析の後には、研究計画をさらに拡張し、Neurofeedbackを用いた、好ましさに関連する脳部位ネットワークの活動変化が行動にどのような影響をおよぼすかについても検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は研究計画のうち行動実験・fMRI実験に比重をおいたため、情報収集等のための学会参加は最低限に抑えられていたため、旅費の使用額が少額となった。 また、実験に使用する物品も他の研究室から借りることが出来たため、予定よりも物品購入が少なく収まっている。 人件費・謝金に関しては、行動実験による実験パラメータの最適化がスムーズに行われたため、予定額よりも少ない人数への支払いとなった。 まず、物品費に関しては次年度以降の研究計画を拡張するためのニューロフィードバック実験に使用する機器類を購入する予定である。関連して、追加実験を行う予定であるのでそのための人件費としても予算を使用予定である。 また、前年度得られた成果を国内外の学会で発表するため、旅費の残金も比重を高める。
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