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2013 年度 実施状況報告書

高次エピゲノムが生み出す生命情報を読み解く統計解析法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25730173
研究種目

若手研究(B)

研究機関東京大学

研究代表者

島村 徹平  東京大学, 医科学研究所, 助教 (00623943)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードバイオインフォマティクス / ベイズモデル / 次世代シークエンサー / 高次クロマチン構造 / エピゲノム
研究概要

エピゲノムによる遺伝子発現制御機構を解明するためには、ヒストン修飾やDNAメチル化などの化学的制御が関与する一次エピゲノム機構に加えて、クロマチン構造変化などの物理的制御が関与する高次エピゲノム機構を解析することが重要である。本研究課題では、統計科学による数理モデリングとスーパーコンピュータによる大規模計算の融合により、クロマチン相互作用を網羅的に測定するChIA-PETから得られる高次エピゲノムデータから、クロマチン交互作用過程を予測するベイズモデルを構築し、高次エピゲノムによる遺伝子発現制御機構を解明するための統計解析法を開発する。平成25年度は以下の二点に進展があった。
① アライメントされたリード配列に確率的要素を取り入れ、クロマチン相互作用過程について、負の二項分布を用いた混合ベイズモデルによる定式化を行った。また、モデルのパラメータの推定法として、ChIA-PETデータ以外に、ChIP-seqによるタンパクの結合やヒストン修飾、FAIRE-seqによるクロマチン開閉領域などのシークエンスデータからの結果を事前分布として表現し、パラメータ推定に取り込むベイズ推定法を導出した。また、シミュレーションデータを用いて、構築されたモデルの有用性を検証した。
② ChIA-PETデータからクロマチン高次構造を推定する方法として、いくつかの統計手法について検討した。解析の結果、ChIA-PETデータによるクロマチン相互作用情報だけでは、高次元構造の再構築が困難であることが確認された。以上の検討を踏まえ、クロマチン相互作用を網羅的に測定する技術として新たにhi-C法から得られるクロマチン相互作用情報について、同様の解析法の適用を試みた。その結果、シミュレーションデータを通じて、hi-C データによるクロマチン相互作用情報については、統計的モデリング手法を用いて、高次元構造の再構築が可能であることが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要で述べたように、平成25年度は本研究課題に必要な要素技術について、順調に研究が進展している。また、連携研究者との共同研究についても順調に進んでおり、今後の成果が期待できる。

今後の研究の推進方策

前年度に行った研究成果を踏まえて、モデルとその推定法の改良を行う。また、実データの解析結果について、生物学的考察を行い、高次クロマチン構造データ解析の知見を深め、エピゲノムによる遺伝子発現制御機構の解明につなげる。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度に本研究課題の推進に必要なデータベースの基盤整備のために人件費・謝金を計上していたが、申請者自らが整備を行ったため、使用しなかった。また、物品費として大規模データ解析のための方法論を開発するメインのデスクトップPCを計上していたが、東大医科学研究所ヒトゲノム解析センターのスーパーコンピュータシステム上で開発を行ったため、物品費を当初の予定より小規模に抑えることができた。
本研究課題は、連携研究者の協力(実験等)をいかに得るかが問題であり、既に連携関係ができている実験系の研究者に加えて、新たに共同研究を探索する必要がある。そこで、研究成果の発表や情報収集のため、国内外の研究集会に積極的に参加する予定である。また、膨大な量のデータを格納するディスクスペースを用意する必要があるため、すべてのシークエンスデータと計算結果を格納できる大容量ネットワーク接続ストレージを購入予定である。

研究成果

(9件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 学会発表

  • [雑誌論文] Systems biology analysis of Drosophila in vivo screen data elucidates core networks for DNA damage repair in SCA12014

    • 著者名/発表者名
      Barclay SS, Tamura T, Ito H, Fujita K, Tagawa K, Shimamura T, Katsuta A, Shiwaku H, Sone M, Imoto S, Miyano S, Okazawa H
    • 雑誌名

      Hum Mol Genet

      巻: 23(5) ページ: 1345-1364

    • DOI

      10.1093/hmg/ddt524

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Recurrent mutations in multiple components of the cohesin complex in myeloid neoplasms2013

    • 著者名/発表者名
      Kon A, Shih LY, Minamino M, Sanada M, Shiraishi Y, Nagata Y, Yoshida K, Okuno Y, Bando M, Nakato R, Ishikawa S, Sato A, Nagae G, Nishimoto A, Haferlach C, Nowak D, Sato Y, Alpermann T, Nagasaki M, Shimamura T, et al.
    • 雑誌名

      Nat Genet

      巻: 45(10) ページ: 1232-1237

    • DOI

      10.1038/ng.2731

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Integrated molecular analysis of clear-cell renal cell carcinoma2013

    • 著者名/発表者名
      Sato Y, Yoshizato T, Shiraishi Y, Maekawa S, Okuno Y, Kamura T, Shimamura T, Sato-Otsubo A, Nagae G, Suzuki H, Nagata Y, Yoshida K, Kon A, Suzuki Y, Chiba K, Tanaka H, Niida A, Fujimoto A, Tsunoda T, Morikawa T, Maeda D, Kume H, Sugano S, Fukayama M, Aburatani H, Sanada M, Miyano S, Homma Y, Ogawa S
    • 雑誌名

      Nat Genet

      巻: 45(8) ページ: 860-867

    • DOI

      10.1038/ng.2699

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The tumor-suppressive miR-497-195 cluster targets multiple cell-cycle regulators in hepatocellular carcinoma2013

    • 著者名/発表者名
      Furuta M, Kozaki K, Tanimoto K, Tanaka S, Arii S, Shimamura T, Niida A, Miyano S, Inazawa J
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 8(3) ページ: e60155

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0060155

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inhibition of histone demethylase JMJD1A improves anti-angiogenic therapy and reduces tumor-associated macrophages2013

    • 著者名/発表者名
      Osawa T, Tsuchida R, Muramatsu M, Shimamura T, Wang F, Suehiro J, Kanki Y, Wada Y, Yuasa Y, Aburatani H, Miyano S, Minami T, Kodama T, Shibuya M
    • 雑誌名

      Cancer Res

      巻: 73(10) ページ: 3019-3028

    • DOI

      10.1158/0008-5472.CAN-12-3231

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Plastin3 is a novel marker for circulating tumor cells undergoing the epithelial-mesenchymal transition and is associated with colorectal cancer prognosis2013

    • 著者名/発表者名
      Yokobori T, Iinuma H, Shimamura T, Imoto S, Sugimachi K, Ishii H, Iwatsuki M, Ota D, Ohkuma M, Iwaya T, Nishida N, Kogo R, Sudo T, Tanaka F, Shibata K, Toh H, Sato T, Barnard GF, Fukagawa T, Yamamoto S, Nakanishi H, Sasaki S, Miyano S, Watanabe T, Kuwano H, Mimori K, Pantel K, Mori M
    • 雑誌名

      Cancer Res

      巻: 73(7) ページ: 2059-2069

    • DOI

      10.1158/0008-5472.CAN-12-0326

    • 査読あり
  • [学会発表] Accurate detection of chromatin interactions from ChIA-PET sequencing data with a hierarchical Bayes model2013

    • 著者名/発表者名
      Shimamura T
    • 学会等名
      Clinical Genomics and Informatics Europe
    • 発表場所
      Sheraton Hotel and Spa, Lisbon, Portugal
    • 年月日
      20131204-20131206
  • [学会発表] Hierarchical Bayes model-based analysis of chromatin interaction maps2013

    • 著者名/発表者名
      Shimamura T
    • 学会等名
      Genome Informatics
    • 発表場所
      Cold Spring Harbor Laboratory, NY, USA
    • 年月日
      20131030-20131102
  • [学会発表] 抗がん剤感受性予測に向けてのバイオインフォマティクスの現状と課題

    • 著者名/発表者名
      島村徹平
    • 学会等名
      日本計算機統計学会第27回大会
    • 発表場所
      青森県弘前大学
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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