研究課題/領域番号 |
25730175
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
香取 勇一 東京大学, 生産技術研究所, 民間等共同研究員 (20557607)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 神経ネットワーク / 動的シナプス / 短期的シナプス可塑性 / 連想記憶ネットワーク / 数理モデル |
研究概要 |
近年の生理学の研究により、ニューロン間の信号伝達を担うシナプスの伝達効率が様々な要因により、短時間のうちに変化することが明らかになっている。そのような早いシナプスの1つに、連続した前シナプスニューロンの発火とともに信号伝達効率が一時的に減少、あるいは増大する短期的シナプス可塑性の性質を持った動的シナプスがある。これまでに単一の動的シナプスの特性はよく研究されている一方で、動的シナプスによる多数の結合を含む神経回路網の動力学特性、脳内の情報処理における役割に関しては未解明の部分が多い。 本研究では、動的シナプスによる結合を持つ神経回路網の性質に着目し、動的シナプスを含む神経回路網の動力学特性、脳内の情報処理における役割の解明、工学的応用のための基盤を確立することを目指している。特に、大規模神経回路網モデルに関しては、スパイキング・ニューロンを基に動的シナプスを含む神経回路網モデルを構成し、生理実験データを踏まえてモデルの妥当性を検証、さらにその動力学的特性を解析する。神経回路網ダイナミクスの多面的な解析に関しては、平均場モデル・分岐構造解析などの手法を用いて、不均一に結合した神経回路網、スパースな結合を持つ連想記憶ネットワークの動力学特性を解析する。さらに工学応用に関する研究では、神経ダイナミクスを効率良くデジタル電子回路に実装するための設計論を用いて、早いシナプスを含む神経回路網をFPGAに実装し、その性能評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大規模神経回路網の解析においては、すでにモデルの構築・解析をほぼ完了し、国際会議でその成果を発表し、現在論文を準備している。神経回路網ダイナミクスの多面的な解析では、不均一なネットワーク構造、スパースな符号化に基づくネットワークに関して解析を行い、現在論文を準備中である。さらに工学応用に関してはすでに予備的な検証を開始しているため、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでの神経回路網モデルの解析結果をまとめながら、動的シナプスの工学応用の可能性を追求していく。
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