微生物の多くは互いにコミュニケーションを取り合うことで複雑な構造と機能を持つ共生システムを形成することが知られている。本研究ではこうした微生物共生システムが成立する条件の理解のため、実験者による制御、解析が容易な人工相利共生システムを合成生物学的手法を用いて構築した。まずは適切な機能を持つ遺伝子部品を組み合わせて、細胞間コミュニケーション分子を介して抗生物質耐性遺伝子の発現を誘導し合うことでお互いの生存を助け合う相利共生関係を形成させる人工遺伝子回路を設計、構築した。さらに大腸菌を用いた培養実験と数値シミュレーションの両方で、構築した人工相利共生システムが安定して存在しうることを確認した。
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