研究課題/領域番号 |
25730177
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
本田 直樹 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30515581)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 数理モデル / 細胞骨格 / 成長円錐 |
研究実績の概要 |
アクチンフィラメントは細胞内において様々な構造を示す。例えば、アクチンフィラメントが束状になった糸状仮足やメッシュ状になった葉状仮足、またネットワーク状になったストレスファイバーなどがある。本研究ではそれらの構造の発生メカニズムを調べるため、アクチンフィラメントの弾性力学的性質やArp2/3による分岐、fascin(リンカータンパク質)による相互作用を導入した数理モデルを構築した。そして、Arp2/3とfascinのアクチンフィラメントへの結合が排他し合うことで、束状の構造を発生することが分かった。また、Arp2/3とfascinの濃度に依存して、束状、メッシュ状、ネットワーク状の構造が発生することが分かった。
神経細胞の軸索および樹状突起は微小管の配向構造によって規定される。軸索は全ての微小管のプラス端は神経突起先端に向かっている配向を持つ。脊椎動物の樹状突起はプラス端のマイナス端の向きが入り交じっているランダムな配向を持つ一方、無脊椎動物の樹状突起は全てのマイナス端が神経突起先端に向かっている配向を持つ。このような軸索および樹状突起の特徴化のメカニズムを調べるため、神経極性形成における微小管成長の数理モデルを構築した。ここでは微小管の重合・脱重合・加水分解、チューブリンの能動輸送を導入した。シミュレーションの結果、微小管の成長速度、神経突起の成長速度、加水分解の速度のバランスに応じて、上3つの微小管配向パターンを再現することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に予定していた計画は実行しており、十分に結果が期待できる状態である。 一方で2年目に予定していた成長円錐の細胞骨格数理モデルは、アクチンフィラメントー微小管相互作用の数理モデル化の技術的困難から遅れている状態である。 しかしながら、3年目に予定していた計画は前倒しして進めており、十分に成果がでていることから、計画全体的には概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの成果を論文にまとめると共に、アクチンフィラメントー微小管相互作用の数理モデル化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在のところシミュレーションに必要な計算量は既存の設備で賄うことができたため、当初予定していたPCクラスターの購入を控えた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度からハイスペックPCを購入し、研究を加速する予定である。
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