研究課題/領域番号 |
25730178
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
國田 樹 北海道大学, 電子科学研究所, 研究員 (20645478)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 細胞運動 / 真正粘菌変形体 / レオロジー / アクチン繊維 / ソフトマター物理 |
研究概要 |
<< 研究計画の概要 >> 本研究では,収縮性タンパク質アクチンの集団的挙動に基づいて,生物種や細胞種に依らない普遍的な細胞運動モデルを提案することを目的として,主に二つの実験を計画している.一つ目では,ソフトマター物理の観点から,細胞運動を引き起こすアクチン繊維の高次構造の形成と崩壊が,せん断流下でどのように変化するかを直接観察法に調べる.二つ目では,真正粘菌変形体の仮足形成の方向や速度が,強制振動による粘菌の構造強度の変化によってどのように変化するかを調べる. << 本年度の研究実績 >> (1) 共焦点レーザー顕微鏡でアクチン繊維を直接観察する計測システムを構築した.アクチン繊維を低倍率の対物レンズを用いて広い視野で長時間観察するために,高輝度かつ褪色速度の遅い蛍光標識アクチンを調整した.(2) 構築した計測システムを用いて,せん断流下でのアクチン繊維の動的な構造形成を観察した.その結果,アクチン繊維を含む溶液はせん断流下で自発的にゲル層とゾル層に相分離し,その時のアクチン繊維はそれぞれ絡み合い構造と配向構造をとることがわかった.また配向構造が定常状態である絡み合い構造へと緩和するまでの時間発展の観察を実施した.これは,粘菌変形体のようなアメーバ運動する細胞の仮足内部でのアクチン繊維の構造と対応する可能性がある. (3) 粘菌変形体のゾル-ゲル変換に基づく細胞運動モデルを構築する準備段階として,数学者や物理学者との議論を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初2年間での実施を予定していた「せん断流下でのアクチン繊維の構造形成とレオロジー特性の計測」を1年間でほぼ終えることができた.その実験で得られた結果については解析も進んでおり,論文にまとめる段階に入りつつある.その一方で,「粘菌の仮足形成に対する強制振動の影響の計測」は,実験装置の試作段階であり計画よりも遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度が最終年度なので,まずは「せん断流下でのアクチン繊維の構造形成とレオロジー特性の計測」に関する論文をまとめて投稿することを優先する.「粘菌の仮足形成に対する強制振動の影響の計測」についても引き続き実験環境の構築および実験を推し進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
購入を予定していた顕微鏡の対物レンズを共同研究者が購入したため,および共同研究者と同じ大学に所属先が変更になったことで出張の必要がなくなったためである. 次年度に予定していた国内での研究成果発表先を海外へ変更,または論文等の英文校正や投稿のために使用する予定である.
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