本研究では,伝染の作用機序を取り入れた予測モデルにより,インフルエンザの国内流行を予測するシステムの開発に取り組んだ.複数の地域間での同期した感染者数のピークが観察されることから,都道府県毎のSIRモデルを結合したモデルを検討した.都道府県間の相互作用は都道府県間流動表を参照してデータに適合するようにMCMCにより改良する.独立SIRと比較して,感染者数の信頼区間は縮小できるものの,その平均値には大きな違いは見られなかったため,当初想定の方法で予測性能を向上することは難しいと結論づけられた.当初の目的ではないが風疹への適用を結検討し,2012-13年の国内流行を再現できることを確認した.
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