研究実績の概要 |
前年度の調査結果(インターネットを介したコミュニケーションツールに対して,利用者がど のようなプライバシー意識・リスク意識を持っているのかに関する調査)に基づき,本年度はソーシャルネットワークサービスをはじめとするインターネットを介したコミュニケーションツール(以下SNS)利用者が発する発話や行為における内面の発露やその度合いと,SNSにおけるプライバシー意識やリスク意識との関連性に関する検討を目指した。前年度用いたSNSにおけるプライバシー・リスク意識に関する質問と内面の発露の度合い(自己開示尺度からの抜粋),および,SNSでのプライバシーに関するインシデント(問題となった事例)の有無に関する質問とを合わせたものを用い,調査を行った。プライバシー・リスク意識が低い場合に,内面の発露が強くなり,また,SNS上でのインシデントにあう可能性が高くなることを予測した。しかしながら,当初の予測とこなり,本調査においてはSNS利用者の内面の発露の度合いとプライバシー・リスク意識との間に有意な関連性を見出すことができなかった。内面の発露の度合いに関する質問項目が不足していた可能性などが考えられ,質問内容を改良し,調査を継続する必要がある。上記と並行して,特に高齢者におけるSNS,あるいはIT機器に対する意識調査も行った。これは,特に高齢者の場合,若年層と同様の質問項目が適用可能であるか否か判断する必要があったためである。この調査からは,IT機器(スマホ・タブレット)を対不特定多数とのコミュニケーションツールとしてではなく,固定的な対象(主に家族)との連絡手段として,また,WEBブラウジングなどの情報へのアクセス手段として捉えている割合が高いことがわかった。
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