研究課題/領域番号 |
25730188
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤井 信忠 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (80332758)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 複雑ネットワーク / ネットワーク外部性 / サービス普及 |
研究概要 |
研究課題初年度は,消費者エージェントおよび消費者ネットワークのモデル化と,数千程度の比較的少数の消費者エージェントを用いた計算機実験を行い,提案手法の基礎的な特性評価を行う. 1. 消費者エージェントのモデル化:外部性を有するサービスの普及を対象とするため,本研究における消費者エージェントモデルは,Katzらのネットワーク外部性モデルをもとに構築した.本モデルは,消費者が消費者自身の選好と,周囲にどれだけの製品使用者がいるかという2つの要素からなる購買意思決定モデルである.ネットワークを介した結合先の消費者が,本研究における外部性の影響を受ける相互作用の相手としてモデル化を行った. 2. 消費者ネットワーク上における情報伝播モデル構築:消費者の相互作用ネットワーク構造も,消費者の行動によって変化する共進化モデルにさきがけ,消費者ネットワーク上における口コミ情報の伝播に関するモデル化とその計算機シミュレーションを行った.ネットワーク構造の違いにより,口コミ情報の伝播速度と,ネガティブ情報の拡がり方に差異がみられることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度における課題は2点あった.1点目が,消費者エージェントのモデル化であり,これは実績の概要の1点目で述べた通り,ほぼ計画通り進捗した. 2点目がネットワーク生成モデルの構築と動作検証であったが,それに先立ち,まずは様々な理論ネットワークモデル上で,口コミ情報の拡がり方どのように差異がでるかの確認を行った.今後はそれらの知見をもとに,消費者の購買行動モデルを導入し,ネットワーク生成モデルへと拡張する予定である. 当初の目的は完全には達成できなかったが,そのための礎となるモデルの構築と動作検証は行えたと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
前年度で得た知見をもとに,サービス・製品の普及シミュレーションの特性解析を行うとともに,消費者エージェント数と投入品種数を増やして実規模レベルの問題において計算機実験を行う. 1. 普及シミュレーションの特性分析:前年度に構築したモデルをもとに,ネットワーク生成モデルの動作検証をまず行う.そして消費者エージェント数を数千程度に増加し,対象とする製品も1品種~2品種として実験を行い,ネットワーク生成とサービス普及の間の関係に関する特性評価を行う. 2. 実規模問題への適用可能性に関する評価:システムをさらに拡張し,消費者エージェント数を数千~数万に増加させて計算機実験を行う.投入品種数も増加することで,提案手法を実規模レベルの問題へと適用する可能性について検討する.実規模レベルの消費者ネットワークにおいて,外部性を有したサービスの普及で問題となる過剰転移・過剰慣性への提案手法の頑健性について評価を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
ほぼ当初の計画通り支出している.当初計画していた海外出張をとりやめたため約10万円を繰り越した.今後も当初の計画通りの執行に努める. 本年度は当初の計画通り,物品として計算機クライアントの購入と,成果発表のための国内外の旅費,および消耗品を購入する予定であり,次年度使用額は特に成果発表のための旅費として充当する予定である.
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