研究課題/領域番号 |
25730191
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
古賀 崇 天理大学, 人間学部, 准教授 (60390598)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 時の経過 / 時効 / 個人情報 / MLA連携 / 情報の変容 / 国際情報交換 / 国際図書館連盟 |
研究概要 |
平成25年度は研究課題について予備的研究を行い、主に国内会議と国際会議という形で成果を発表した。 国内会議においてはオープンガバメントと文書館(アーカイブズ)との関係について仮説を示し、また「時の経過に基づく個人情報の取り扱い」という観点で論点提示を試みた。これらを通じ、「時の経過(時効)と情報の性質・価値の変容」という、著作権法などを含め情報法領域を横断する観点での論点提示に到達できたことが収穫のひとつであった。 また、国際会議においては「博物館・図書館・文書館(MLA)の連携」について「間接サービス」「直接サービス」「政策・マネジメント」の3段階から成るモデルを提示しつつ、オープンガバメントほか「情報形態の変容」がMLA連携の契機となりうることを示した。 これらに加え、豪州を拠点に国際的アーカイブズ理論を提起したFrank Upwardらによる「レコードキーピング情報学」の構想を、文献紹介という形で示した。これを通じて、「情報のカオス化」の中での「MLA連携を超えた、さまざまな情報専門職の連携の必要性」という、今後の制度構築に向けた視点を得ることができた。 当該年度の研究実績をまとめると、「情報の変容」「時の経過(時効)」「情報専門職ないし情報領域の連携」という、今後の研究に向けての基本的視座を獲得しつつ、次年度以降の具体的な制度・政策分析に向けての方針を構築できたと考える。 平成26年度は上記の基本的視座を踏まえ、主に米国(国立公文書館・記録管理庁=NARA、など)の取り組みを中心に、「オープンガバメントないしオープンデータに対処するための政府の政策と、具体的なアーカイブないしアクセスのしくみ」の調査・考察に取り組みたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で述べた通り、国内外の動向を踏まえ、次年度以降の具体的な制度・政策分析に向けての方針を構築できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は以下に関する調査・研究を予定している。 ・国際図書館連盟年次大会(於:フランス・リヨン)およびサテライト会議(於:イタリア・トリノ)への参加を通じての、研究課題(MLA連携含む)に関する国際情報交換。 ・米国国立公文書館・記録管理庁(NARA)などでの現地調査。 ・「時の経過(時効)と情報の性質・価値の変容」をめぐる考察の推進。 なお、本研究課題は、別途実施している共同研究「日本における情報ガバナンスの国際比較」(研究代表者:粕谷祐子・慶應義塾大学法学部教授)と密接なかかわりをもつ。こちらとも連動させつつ、国内・国外での成果発信につながるよう努力していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
書籍代に充てる予定であったが、所属機関および周辺の図書館で入手できる資料で、当該年度の研究をカバーすることができた。 新たに資料調査を行った上で、書籍代に充てたい。
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