最終年度となる平成27年度は、前年度の米国ワシントンDCにおける政府機関等への実地調査に基づき、本研究のまとめとなる雑誌論文(査読付)を上梓した。当論文では、オープンデータのみならず「政府情報の多様化」が米国ほか各国で認められる状況を踏まえ、米国連邦の情報管理機関―国立公文書記録管理院(NARA)と政府出版局(GPO)を中心に―がこの状況にどう対処しているか、またどのような課題があるか、を明らかにした。 また、「オープン・ガバメント」という本研究の中心課題に付随する成果として、「アーカイブ」「デジタル・アーカイブ」に関するものがあり、これは共著書や国内の学会発表として提示した。特に、平成27年8月に米国アーキビスト協会年次大会(クリーブランド)に初めて参加し、米国アーカイブズ界における「デジタル・アーカイブ(ズ)」の理解と、日本で喧伝されている「デジタル・アーカイブ」とのズレを確認できたのは、本研究において大きな発見であった。 その他、「政府情報論」という研究・教育上の枠組みの提案や、米国の政府情報アクセスにおける研究・教育体制とも密接にかかわる「iSchool(図書館情報学を基盤としつつ、幅広く情報領域を扱う大学院)」の動向に関する発表も、本年度内に遂行した。 総じて本年度においては、「オープン・ガバメント」ないし「オープンデータ」がもたらす「政府情報の多様化」が、情報管理体制から政策展開、さらに教育体制まで幅広い影響を及ぼしていることを確認でき、最終年度として多種多様かつ実りある成果につなげることができた、と総括できる。
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