• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

デジタルゲームの表現と倫理に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25730198
研究機関専修大学

研究代表者

藤原 正仁  専修大学, ネットワーク情報学部, 准教授 (20422404)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードデジタルゲーム / レーティングシステム / ゲーム開発者 / デジタル配信 / 倫理的統治
研究実績の概要

本年度は、昨年度の研究成果を踏まえ、デジタルゲームのレーティングシステムに関する国際比較および開発者の職業倫理について調査を前進させた。
具体的には、第一に、PEGI S.A.が統括し、オランダ視聴覚メディア等級審査研究所(NICAM)および映像基準協議会(VSC)によってレーティングされている全ヨーロッパゲーム情報(PEGI)、北米のエンターテインメントソフトウェアレーティング委員会(ESRB)、台湾のコンピュータソフトウェアレーティング法(CSRR)、韓国のゲームレーティング運営委員会(GRAC)、日本のコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)、国際年齢レーティング連合(IARC)におけるレーティングシステムの動向を把握した。その結果、いずれの機構においても、パッケージメディアのみならず、デジタル配信に対応したレーティングシステムやゲーム内容に関する情報提供の在り方が検討されていることが明らかにされた。
第二に、日本のゲーム開発者に定量的・定性的調査を実施した。定量的調査の結果、全体でみると、開発者の職業倫理について「重要である」という回答が約8割に達したが、レーティング制度の普及啓蒙については「重要でない」が約5割で、性別や年齢、職種によって乖離がみられた。主に北米のゲーム開発者が回答した国際ゲーム開発者協会(IGDA)の調査では、約6割がレーティング制度について「有益である」としており、国際比較では、レーティング制度の認識に若干の乖離があることが把握された。また、定性的調査の結果、固有の職業経験などを通じて、ゲーム開発における倫理観が変容しているが、企業の規模や事業によって倫理的統治の在り方が異なることが明らかにされた。
これらの調査研究より、とくに、多様なプラットフォームにおけるデジタル配信に関する倫理的諸課題を把握し、論点を明確にすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

第一に、資料調査やインタビュー調査を通じて、デジタルゲームのレーティングシステムの国際的動向や検討課題について、知見を蓄積することができた。とくに、劇的に増加しているゲームのデジタル配信の潮流を受け、国際的にレーティングシステムが変容しつつある現況を踏まえて、引き続き、ゲームの開発、流通、利用に関わるあらゆる主体の責任の在り方について検討を進めていく。
第二に、ゲーム開発者に関する調査を通じて、本研究課題に関する海外の研究者や実務家とのリレーションを構築する機会が得られ、国際比較の観点から考察を深めることができた。
第三に、CEDEC(Computer Entertainment Developers Conference)運営委員会や日本のゲーム開発者、関連機関などから協力や支援が得られ、ゲームの表現と倫理に関する現況や事例について知見を蓄積することができた。とくに、日本のゲーム開発者に対するインタビュー調査において、合計20時間にわたる音声データを収集し、それらを逐次トランスクリプトに変換して(現在約32万文字)、検討を重ね、より深い分析を進めている。
第四に、フィールドワークを通じて、本研究課題の解明において鍵となる関係者との接点を拡げ、有益な助言や示唆を得ることができた。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画の通り、本研究課題を推進している。
今後の推進方策として、第一に、国内外のレーティングシステムおよびゲーム開発者やゲーム会社に関する調査から得られたデータをもとに、研究成果としてとりまとめていく。
第二に、利用者への調査を並行して進め、デジタルゲームの表現と倫理について、多角的観点から検討を重ねていく。
最終的には、調査研究結果を踏まえて、総合的な考察を進め、関係者や関係機関との意見交換などを通じて、最終成果として総括を行う。
なお、利用者への調査については、対象者にアクセスすることが困難であるため、必要に応じて調査会社などから協力・支援を得ながら進めていくことを計画している。

次年度使用額が生じた理由

インタビュー調査データ量が膨大となり、トランスクリプトに係る時間を割く必要が生じたため。

次年度使用額の使用計画

次年度の研究費は、利用者に対する調査、インタビュー調査データのトランスクリプト費、デジタルゲームの表現と倫理に関する国内外の資料費・情報収集費などを中心に使用する計画である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] IGDA開発者満足度調査2014要約報告書の翻訳にあたって:ゲーム開発者の理解を深めるために2015

    • 著者名/発表者名
      藤原正仁
    • 雑誌名

      デジタルゲーム学研究

      巻: 7(2) ページ: 45-48

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] IGDA開発者満足度調査2014要約報告書2015

    • 著者名/発表者名
      藤原正仁
    • 雑誌名

      デジタルゲーム学研究

      巻: 7(2) ページ: 46-62

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] デジタルゲームの倫理に関する考察:レーティングシステムと開発者の職業倫理の観点から2015

    • 著者名/発表者名
      藤原正仁
    • 学会等名
      日本デジタルゲーム学会2014年次大会
    • 発表場所
      宮城大学大和キャンパス
    • 年月日
      2015-03-07 – 2015-03-07
  • [図書] ゲーム開発者の就業とキャリア形成20142015

    • 著者名/発表者名
      CEDEC運営委員会・藤原正仁
    • 総ページ数
      109
    • 出版者
      一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi