平成28年度は,成果1「ディクトグロスシステムの協調学習者エージェントCLAと学習者との対話において,根拠を伴ったお互いの再現文の違いに言及する手法(平成27年度から継続)」,成果2「音声対話システムにおける音声対話制御の機械学習の導入」,成果3「ディクトグロスシステムにおける学習コンテンツの拡充」の3つの成果がある. 成果の一部については,平成27年度の成果の一つである,中級学習者を対象としたteachable agent の実装について,国際会議 ICCE2016 にて "A Teachable Agent for the Japanese Dictogloss Learning Support Environment" というタイトルで報告している. 成果2については,平成29年3月の人工知能学会SLUD研究会にて "対話状況を考慮したseq2seqに基づく音声対話制御の試作" というタイトルで報告を行った.こちらでは,ルールを手作業で構築した模擬対話から入力文と出力分のペアを生成し,そのデータを使って seq2seq を学習する.現時点ではルールの手作業を前提とした手法となっているが,実際の利用体系において入力文と出力文,及びその時の対話の満足度等を多く収集する枠組みを作れれば,ルールを作らずに最初から機械学習で対話制御を実現可能であり,その基本的枠組みが作成できた点は成果と考えられる. 成果3については,平成29年開催の 国際会議 ICCE2017 に投稿予定である.実際に大学の日本語教育現場で用いられている日本語の教科書およびその教科書の指導要領から,日本語初学者が学ぶべき学習目標の言語形式をまとめ,それらをすべて学ぶことが可能な学習コンテンツを作成した.作成したコンテンツにより300分程度の演習が可能である.
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