研究課題/領域番号 |
25730205
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鮫島 正樹 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (80564690)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ファシリテーション / 教育支援システム |
研究概要 |
まず、ファシリテーションシステムにおける、学習者の発言に対する音声認識機能、発言間の関係推定機能、議論グラフによる可視化機能の設計を行った。さらに既存の音声認識エンジン、文間関係認識技術、グラフ表現手法にもとづいて、システムを試作した。ソフトウェア開発における問題を議論の題材として、複数名の学生による予備実験を行ったところ、音声認識と発言間の関係推定の精度の向上が、システム実用化に向けて課題となることが明らかになった。 本システムでは、コーパスにもとづく音声認識エンジンを利用しているため、コーパスに登録された単語が精度よく認識されるのに対し、議論の題材に関係する専門用語、例えば、ソフトウェア開発特有の単語は認識精度が十分ではなかった。そこで、議論の題材となっている文章から特徴的な単語をあらかじめ抽出し、重要語として音声認識エンジンに登録することで、本システムにおける音声認識の精度向上を図った。 また、類似度にもとづく既存の文間関係認識技術では、短文かつ言い換えが続く議論の発言に適用しても、関係を正しく認識できた発言は全体の40%程度に留まった。そこで、連続する発言のまとまりを意味のある1単位として考え、低い類似度であっても連続する発言に関係があるとみなすことで、認識精度が10%ほど改善した。議論終了後に発言間の関係を認識するだけでなく、議論途中における発言間の関係もリアルタイムで認識し、かつ、その認識精度も改善できている。しかし、文間関係の認識精度は依然として低く、当初計画通り、来年度以降は認識精度の改善に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存研究をうまく活用することで、ファシリテーションシステムの試作ならびに予備実験を今年度中に実施できた点は、計画以上に進んでいると考える。音声認識の精度向上については、計画時点で課題となることを想定していなかったが、今年度中に十分に対応することができた。一方、発言間の認識精度が想定以上に低かったため、来年度以降は、計画を前倒しで進めていくことにより、十分な認識精度を達成したいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は文間認識精度の改善に取り組む予定である。認識精度が低い原因として、議論で用いられる専門用語同士の関係を十分に特定できていないことがわかっている。そこで、本研究題目に示しているように、議論に用いられる概念間の因果関係をあらかじめ用意し、文間関係の認識に利用することを考えている。まずはソフトウェア開発を題材として用い、ソフトウェア開発に関する教科書や参考書をスキャナで電子的に取り込み、因果関係を意味づけしたコーパスとして作成する。作成したコーパスにもとづいて文間関係を認識する方法を開発する。
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