研究課題
本研究では、ケースメソッドにおける議論のファシリテーションを支援するため、議論における各発言の関係を因果モデルで表現し、因果モデルにもとづいて議論の参加者に助言を提示するシステムを開発した。システムを実現するためには、議論の進行に合わせて議論構造を表す因果モデルを自動で更新する機能、因果モデルにもとづいて助言を生成する機能が必要となる。議論構造を表す因果モデルを自動で更新するためには、議論を構成する参加者の発言間の因果関係を推定する必要がある。ケースメソッドの指導者が経験的に発言間の関係を推定できることに着目し、過去のケースメソッドの議論における発言とそれらの因果関係を学習データとして、現在の議論における発言間の因果関係を推定する学習器を訓練する。学習器としてSupport Vector Machine(SVM)を用い、訓練された学習器を議論の発言に逐次適用していくことで、因果モデルを更新する。加えて、参加者の発言内容に対して問題提起や対策提示等の属性を自動で付与することにより、因果モデルのサイズが大きくなっても、議論の参加者が注目すべき意見を発見しやすくしている。また、助言を生成する機能を実現するため、ケースメソッドにおける発言とそれに対する助言のセットを事前に用意し、これらの例にもとづいて助言を決定する方法を開発した。開発した方法では、事前に用意したセットの中から、現在の議論の発言に関係するセットを特定して、特定されたセットの助言を提示する。その際、各発言の関係の有無をSVMによって推定することで、発言に関係するセットを特定する。既存の音声認識機能に加えて、上記の機能を実装したファシリテーションシステムを開発し、実際の議論を対象として評価実験を行った。実験の結果、精度良く因果モデルの更新ならびに助言の提示を行えることを確認した。
すべて 2015
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