研究課題/領域番号 |
25730206
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
山口 真之介 九州工業大学, 学習教育センター, 助教 (00380733)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | e-ラーニング / ストリーミング / 講義動画 |
研究概要 |
平成25年度には、フレームレートを落とした教材動画について、実際に学習可能かどうかの評価を中心に行った。まず本学で行われている、解析学(再履修)の講義を、3か所に固定したカメラで全て撮影。この動画の一部を、解像度HD720、ビットレート(32kbps~500kbps)とフレームレート(30fps~0.5fps)を変化させた動画を20本用意した。これを60人程度の学生に視聴してもらい、黒板の文字が読めたかどうか、この画質で学習可能かどうかについて、アンケートで回答を集めた。 アンケートの結果では、極めて低いビットレートであってもフレームレートも低くすることで、黒板の文字を識別できる程度に、画質が維持できる結果が得られている。ただし、学生の学習意欲については、あまりに低フレームレートの動画では、学習できないとの回答もあった。これらのアンケートから、ネットワークが低い環境の学生でも低フレームにすることで、学習可能な環境を少し広く提供できることが確認できた。ここまでの実験結果を、国際会議ICEEE2013で発表した。 次に実際に学習可能かどうかの実験を行った。20名程度の学生に1コマ分の講義動画を視聴してもらい、実際に学習を行ってもらった。そしてこの講義後に演習問題を解答させた。講義動画は片方のグループは低ビットレート、低フレームレートの動画で、もう片方は高ビットレート、高フレームレートの動画である。こちらも動画に関するアンケートと演習問題の点数について確認した。その結果、2つのグループは殆ど学習の結果に違いは無く、この結果から低速度のネットワークでも十分高解像度の動画を用いて学生が学習できることを確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、申請書で自身が提案していた低フレームレートでの学習に関して、動画の評価を中心に行った。1度目の実験では、低フレームレートの動画では文字を認識できても、学習できるとする意見が少なかった。従って低速度のネットワーク環境下の学生に対しては、まだ20%程度の学生にのみ学習環境を提供できる結果となっていた。しかし、2度目の実験では高フレームレートで学習した学生と、低フレームレートで学習した学生の間で、問題の回答、学習内容の理解に大きな差は見られなかった。この事から、低フレームレートの動画であってもそこまで学習に影響は与えない事がわかる。 平成25年度の結果から、低フレームレートの動画配信の環境を構築する事は、ネットワークの良環境にない学生にとって有効であると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、サーバ、クライアントを含めた動画配信環境の構築と、配信実験を中心に行う。まず専用のプレイヤーの開発する。開発言語にはHtml5を中心に用いて、デスクトップPC環境、及びモバイル環境でのプレイヤーを開発する。 次にそれらプレイヤーのユーザビリティの確認として、配信の実験を行う。配信の実験はまず学内での実験を行い、次に学外への実験を行う。学内では、学内の計算機端末室を利用して、学生にこれらの動画を視聴してもらい、板書の文字の画質、及び学習教材としての有用性について、昨年度と同様にアンケートを取って評価する。評価を元にプレイヤーと教材の改善を行い、最終評価として他キャンパスへの配信実験を行う。 さらにタブレット端末での配信実験も行い、これもPC と同様に、視聴環境とユーザインターフェースについて評価を行う。 最後に本学で撮影した解析学(再履修)の全ての動画について、一通りの編集を行い、学内での教材の公開を行う。
|