研究課題/領域番号 |
25730209
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
関 亜紀子 日本大学, 生産工学部, 助教 (60386670)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メタデータ / 電子書籍 / デジタル教材 |
研究概要 |
大学における授業支援を目的とし、電子的に存在するデジタル教材やデジタルノートなどのコンテンツを、デジタル教科書を使った講義の進行と関連づけて管理することにより、他の教員の教材作成や学習者の予習・復習・自己学習を支援するコンテンツ共有システムの実現手法を検討している。ここでは、デジタル教科書とデジタルノートが独立したアプリケーションで実現されている場合の両コンテンツ間の連携手法の確立を目指し、ノートPCとスマートフォンなど、デジタル教材やデジタルノートを複数の異なるデバイスで利用した場合に、各デバイスでの学習状況を統合管理し、どのようなデバイスでもシームレスに学習を継続できる学習管理システムの実現手法を検討している。 平成25年度は、デジタル教科書とデジタルノートの同期および共有支援のためのコンテンツフォーマットと、システムの全体の構成要件について整理した。また、近年の教育現場でのデジタル教材の活用動向や教育研究の動向、さらに学習メタデータの生成手法として、行動履歴やソーシャルクラウドなどにより生成される大量のデータの収集と活用手法などの専門知識の修得に努めた。 デジタル教科書のフォーマットとしては、電子書籍のコンテンツフォーマットとして標準化が進められているEPUBを前提に検討を行った。大学教育では、義務教育と異なり共通の教科書が存在することが少なく、科目担当者や年度により異なることが多い。そこで、特定のフォーマットではなく、広く市販されている電子書籍が教科書として使用される状況を前提としている。そして、電子書籍の標準フォーマットであるEPUBをベースに、デジタル教科書の該当ページに対応するノートや画像、動画などの関連コンテンツを対応づけて管理する仕組みと、学習メタデータの動的な収集管理、教材間の関係性情報を表現するためのメタデータ付与システムの実現手法を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、異なるアプリケーションおよびデバイス間で、デジタル教材の作成状況や学習状況を共有するための教材共有システムの実現手法について、(1)デジタル教材の共有を支援するためのコンテンツフォーマットおよび学習メタデータの設計、(2)複数ドキュメント間での学習情報の同期手法、(3)自らの学習知識と他の学習知識との関連付け手法の3点を明らかにすることを目的としている。 平成25年度の研究計画は、デジタル教科書とデジタルノートの同期および共有支援のためのコンテンツフォーマットと学習メタデータの設計、メタデータの動的な付与と教材間の関係性情報を表現するためのメタデータ付与システムの構築を行うこととしていた。 これに対し、平成25年度の研究実績は、学習メタデータの詳細な設計の以前に、動的収集および教材共有の仕組みの検討を先行することが重要と考え、当初の計画では平成26年度の検討内容として計画していた課題である教材コンテンツの共有システムの検討を先行して取り組んだ。これにより、想定する学習シーンを明確にすることができ、教材共有システムに必要な機能要件を整理し、各研究課題の位置づけを明確にしている。また、教材共有に必要な静的メタデータと動的に生成される学習メタデータの役割を整理し、さらにこれらの研究成果の一部を学会の年次大会にて口頭発表をすることができた。 従って、現在までの達成度は、当初の研究計画に示した平成25年度の内容の検討は十分に進めれていないが、平成27年度までの3年間の研究計画の全体から見ればおおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、当初の計画において平成25年度に検討する予定であった学習メタデータの詳細な設計の検討を行う。 ここではまず、静的なメタデータの活用方法を検討し、シラバスに記載された内容や各学習者がそれまでに学修した内容などから、ベースとなる知識の類似する学習者を発見する手法について検討し、必要な静的メタデータのデータ構造を設計するとともに、データベースの構築を行う。 また、講義内や自己学習において参照されるデジタル教科書のページ情報と、それに対応するデジタルノートの記載ページ情報、スマートフォンやノートPCで記録される文字情報や画像、映像などのデジタルコンテンツのリソースの所在をURIなどを用いて関連づけて管理するための動的メタデータの収集方法の検討を行う。また、学習と関係のない情報の入力や操作のない学習者のユーザビリティを考慮することが本提案システムの重要な事項となる。そこで、プロトタイプシステムの設計を通し、ノートPCとタブレット端末など、異なる複数の端末を併用して学習する状況を想定した学習履歴の管理と、動的メタデータの自動収集の可能性を検討する。 さらに、これらのメタデータの収集と管理においては、学習者のユーザビリティだけでなく、共有するコンテンツの著作権の扱いや、学習者のプライバシー情報の管理手法も重要になる。各権利者の許可の元でのコンテンツの共有やコンテンツの参照情報の共有、また、類似ユーザを発見する際の各ユーザ情報の匿名化などについても検討を進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末に日帰り出張を検討し、予算を確保していたがスケジュールの関係で研究費を使用した出張をすることができなかった。 次年度使用額については、平成26年度の使用計画に沿って研究を遂行する上での消費税増額分の一部に割り当てる。
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