研究課題/領域番号 |
25740006
|
研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
小林 祥子 玉川大学, 農学部, 准教授 (10537103)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | マイクロ波衛星 / ALOS2/PALSAR2 / SAR / 植林地 / インドネシア / 偏波 / 森林 |
研究実績の概要 |
本研究では、マイクロ波センサを搭載するALOS-2衛星により取得されるPALSAR-2画像を用いた熱帯産業植林地における衛星データの解析を継続的に進め、プランテーションのモニタリングを行っている。 これまで、ALOS衛星のフル偏波(HH/HV/VV/VH)解析により、アカシアプランテーションにおける林層構造を明らかにした(Kobayashi et al., 2015)。同様に、アカシア植林ユーカリ植林への転換が進む当該植林地において、フル偏波データを用いた植生構造の把握を行う予定であった。しかし、ALOS-2衛星では当該地におけるフル偏波観測は5年に1回となり、当該地では、2015年4月にフル偏波が撮影され、その後は、2偏波(HH/HV)での観測が主となった。 そこで、まずはアカシア林とユーカリ林の後方散乱特性の違いを明らかにした。植林地では、すでにユーカリ林への転換が始まっており、またアカシア林においてはサルによる樹皮はぎのダメージが深刻であったため、同じ画像上での樹種の判別は行うことができなかった。そのため、ALOS/PALSARデータ(2009年04月09日撮影)によりアカシア林、ALOS-2/PALSAR-2データ(2015年04月11日撮影)により、ユーカリ林の後方散乱を解析した。結果、2回反射散乱のみ明確な差を示し、二樹種の判別が可能であることが明らかになった。 次に、二偏波データを用い、二偏波データが森林の垂直構造にどれだけ影響を受けるか、植生調査により得られたデータとL-band SARデータとの比較より解析を行った結果、HV偏波が、やはり下層植生の有無に大きく影響を受けていることがデータ解析より明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アカシアプランテーションにおいて、森林の垂直構造によってマイクロ波の後方散乱がどのように変化するのか、四偏波解析に関する知見を十分に蓄積してきた。 しかし、当該植林地において、サルによる樹皮はぎによりユーカリ林への転換が余儀なくされ、既存のアカシア林が伐採されたあとは植林されないこと、またアカシア林でのダメージは大きく植林会社による観測も全く行われていないため、本研究において、対象樹種をユーカリ林へ変更することが余儀なくされた。 また、ALOS-2/PALSAR-2データの四偏波データの観測がは5年に1回となり、当該地では、2015年4月にフル偏波が撮影され、その後は、2偏波(HH/HV)での観測が主となった(次回の観測は2020年予定)。したがって、偏波の情報量を増やすためにL-bandに加え、森林に対して透過性の低いC-bandデータ(Sentinel-1B)を用い、マルチバンドによる森林垂直構造の把握を行う必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
マイクロ波の波長が異なると森林内での透過の度合いに差が生じる。そこで、波長が長く地表面まで透過しやすいLバンド(波長23 cm)SARデータ(ALOS-2衛星PALSAR-2センサ)HH+HV偏波に加え、波長が短く林冠で反射されるCバンド(波長18 cm)SARデータ(Sentinel-1B衛星)のVV+VH偏波を用いる。Xバンド(TerraSAR-X)データは、当該地域での観測頻度が少ないが、もしデータが観測されればその利用も考慮に入れる。 地上調査より得られる植生構造データとマイクロ波衛星画像との突き合わせ解析により、Cバンド及びLバンドの後方散乱に対する植生構造の影響を測る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の育児(平成27年度に出産)のため、海外出張が困難となり、当初予定していた国際学会での発表を延期する必要が生じたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度の調査旅費を予定している。
|