研究課題
本研究では地球気候に大きな影響を持ち、その性質が謎に包まれた大気中の有機エアロゾルのナノスケール特性を明らかにした。特に、電子顕微鏡を使って有機エアロゾルの組成、形態、他の粒子との混合状態、揮発性を個別粒子単位で分析し、大気中における変質過程(エイジング)の解明を行った。具体的な研究成果として以下の項目があげられる。1)アマゾンの植物由来有機エアロゾル観測キャンペーン(GoAmazon Projectブラジル:2014年)に参加し、森林・人為由来またそれらが混合した有機エアロゾルの電子顕微鏡分析を行い、それぞれ異なった起源の有機エアロゾルの特徴や混合状態に関する解明を行った。具体的には、有機エアロゾルの粘性に関する研究を重点的に行い、より粘性の低い固体有機エアロゾルの存在を明らかにした。2)バイオマス燃焼由来の有機物質に関する試料採取、測定を行った。そして、バイオマス燃焼から生じるターボール粒子(球状有機エアロゾル)の生成メカニズムや生成速度などを推測した。また、電子顕微鏡内で加熱実験が行える加熱フォルダを用いた分析を行うことで、従来の想定より高い温度まで揮発しない低揮発性有機エアロゾルの存在を明らかにした。3)電子線エネルギー損失スペクトル法によって有機エアロゾルの組成を個別粒子単位で明らかにすることに成功した。4)日本の都市域や森林域において有機エアロゾルを採取して、そのブラックカーボンなどとの混合の日変化等を明らかにした。これらの観測データは、それぞれの有機エアロゾルの個数濃度比などの形でパラメータ化した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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