研究課題/領域番号 |
25740014
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
藤木 徹一 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 主任研究員 (30598248)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 細胞内共生 / クロロフィル蛍光 / 共生藻 / 原生動物 / 光合成 / FRR法 |
研究概要 |
(研究概要) 本研究は、高速フラッシュ励起蛍光法(FRR法)を利用して、貧栄養の熱帯・亜熱帯海域でよく見られる藻類と原生動物の細胞内共生関係を明らかにするものである。本研究は、平成25年度から3年間の計画で、初年度である本年は、1.FRR法を用いた共生藻の光合成測定方法の確立、2.原生動物の細胞内にいる共生藻の光合成能力の定量的評価の2つの研究課題に取り組んだ。以下にその具体的内容を示す。 1. 高速フラッシュ励起蛍光光度計(現有機器)で、宿主細胞内の共生藻の光合成能力を精度良く測定するためには、励起光を共生藻に正確に照射し、放射される微量の蛍光を的確に検出する必要がある。そこで、機器の測定部に宿主原生動物を一時的に固定するための石英ガラスセルを作製した。また、申請者がこれまで取り組んできた浮遊性藻類でのFRR法の測定プロトコル(励起光の強度や時間、検出器の感度調整等)を基に、共生藻の光合成能力測定に適した測定プロトコルの検討を行った。 2. 平成25年7月の海洋地球研究船「みらい」の西部北太平洋亜熱帯循環域の航海時、また同年10月と11月に琉球大学瀬底研究施設に面した沿岸域での定期観測時に、海域の現場環境因子の測定と共に、生物試料をネット採集した。この採集試料から、実体顕微鏡を用いて、共生藻をもつ有孔虫と放散虫を単離し、FRR法で共生藻の光合成能力と生物量(クロロフィルa量)を測定した。また、有孔虫と放散虫は光学顕微鏡を用いて、共生藻は検鏡に加え遺伝子解析により、種の分類・同定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共生藻の光合成測定に必要な石英ガラスセルの製作や測定プロトコルの決定を行った。また、沿岸域及び外洋域から共生藻をもつ有孔虫と放散虫を採集し、FRR法を用いて共生藻の光合成能力を測定することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、貧栄養海域での生物試料の採集・測定を行う。さらに、共生藻の光合成能力の変動要因や共生藻が宿主原生動物の生存・生育に及ぼす影響を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究が順調に進み、次年度に予定していた論文作成が本年度に可能となったため、物品費として予定していた経費の一部を論文校閲費と論文投稿費として確保していたが、本年度は論文の初稿の作成までを行ったため、その経費を使用しなかった。 本年度の未使用額は、次年度の物品費に含め、実験に必要な消耗品と試薬の購入に使用する。また、論文校閲費と論文投稿費は、次年度に計上していた経費を使用する。
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