本研究は、細胞内共生という現象の解明を目指し、貧栄養海域でよく見られる共生藻と宿主原生動物の関係を光合成に着目して明らかにするものである。このため、原生動物の体内にいる共生藻の生物量と光合成活性を生きた状態のまま且つ簡便に測定する方法を開発した。この方法を用いることで、宿主である浮遊性有孔虫(原生動物の一種)の体サイズと共生藻の生物量の間に有意な正の相関関係があること、宿主の成長期は共生藻の光合成能力が高く維持されていることを明らかにした。また、宿主の配偶子形成期には、共生藻の生物量の急激な減少と光合成能力の低下が確認され、共生藻が宿主の生活史に関係していることを実証した。
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