大気エアロゾルに含まれる多環芳香族炭化水素類(PAHs)は発がん性や中国からの越境汚染が懸念され、その挙動の解明が求められている。本研究では、エアロゾルに含まれる腐植様物質とPAHsとの相互作用を明らかにすることを目的にした。チャンバー実験の結果、塩化ナトリウムや硫酸アンモニウム粒子よりも、腐植様物質粒子は5環と6環のPAHsをより多く収着することが分かった。また、腐植様物質の中でも、分子サイズが大きく、長鎖脂肪族構造を持つ腐植酸画分のPAHs収着力が高かった。大気中の腐植様物質の量と構造特性を把握することで、PAHsの挙動をより詳細に把握することが可能になると期待される。
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