照射細胞から非照射細胞へ放射線の効果が伝わるバイスタンダー効果の誘導機序を解明するため、ガンマ線や炭素イオンを照射したヒト培養細胞と非照射細胞を共培養した。その結果、非照射細胞のコロニー形成能は、照射細胞との共培養時間が延びるほど(時間依存)、照射細胞が受ける線量が高いほど(線量依存)低下するが、ガンマ線と炭素イオンの間では違いが無かった(線質非依存)。また、一酸化窒素の消去剤を加えるとバイスタンダー効果も消失し、一酸化窒素が酸化されて生じる亜硝酸イオンの培養液中濃度はバイスタンダー効果と相関関係を示したことから、一酸化窒素の産生量はバイスタンダー効果の決定因子の一つと考えられた。
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