研究課題/領域番号 |
25740029
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
横川 太一 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 講師 (00402751)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 水圏微生物食物網 / 抗生物質 / 細菌群集 / 細菌群集多様性 / 腐食食物網 |
研究概要 |
本研究は,抗生物質流出による水圏生態系機能低下リスクを定量的に把握することを目的としている.抗生物質が細菌群集の活性に与える影響,抗生物質の種類および濃度変化に対する細菌群集の応答を解析する.さらに,細菌群の応答による捕食者との相互作用の変化を解析する.本研究の成果として,水圏生態系の健全性を維持する管理指針の提言を目指している. 具体的には,抗生物質流出による水圏生態系へのリスク「抗生物質による腐食食物網の機能低下」を定量的に把握することを目指す.実際には,「腐食食物網の生態系機能の低下」を「腐食食物網を介した有機物転送量の低下」として捉えて,次の3つの作業仮説の検証を微生物生態学的手法を適用し実施している.作業仮説:日本沿岸環境において現在報告されている抗生物質種および抗生物質濃度(ppt~ppb濃度レベル)に暴露された際;1)環境細菌群集の有機物分解活性と呼吸活性は低下し,その生物量が減る.2)環境細菌生物量の低下に伴い,細菌捕食者への有機物転送量が低下する.3)微生物群集の構造変化に起因して,腐食食物網を介する有機物転送量が低下する 平成25年度の研究における成果は次の2点である.1)自然海水を用いた培養実験を実施し,抗生物質添加によって細菌増殖速度の低下,細菌群集構造の変化が起きる事を明らかにした.2)環境応答の結果として起こる細菌群集の代謝多様性の変化を観察および解析する方法を確立した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究によって,3つの作業仮説(研究実績の概要参照)の内の第1仮説の検証を終えることができた.さらに,市販の微生物基質利用多様性評価キットを用いて,環境変化(ここでは抗生物質負荷)に対する水圏細菌群集の代謝能および代謝多様性の変化を観測および解析する方法を確立した.このキットの利用と解析方法の確立により,水圏生態系の健全性を維持するための「抗生物質による腐食食物網への影響評価」の適用がより簡便に迅速に行う事が可能になった. 上記のとおり,研究計画が予定通り実施され成果が出ていることから,本研究を「おおむね順調に進展している」と評価した.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,申請書に記載した3つの作業仮説(研究実績の概要参照)の内の第2,第3作業仮説の検証を実施する.すなわち,2)環境細菌生物量の低下に伴い,細菌捕食者への有機物転送量が低下する.3)微生物群集の構造変化に起因して,腐食食物網を介する有機物転送量が低下する.の検証の為の実験系を構築する.実際には,細菌群集および細菌捕食微生物が存在するように調整した自然環境海水を培養し,2者間の関係が抗生物質の有無によってどのように変化するかを解析する. また今年度は本研究の成果を国際学会で発表することおよび論文発表を予定している.
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