研究実績の概要 |
愛媛大学農学部附属農場において、水田からのCH4とN2O発生に与えるBiochar(竹炭)の施用効果を2012年秋から2014年秋に圃場条件下で調査した。また、愛媛大学農学部でポット試験にてBiocharの異なる施用量がCH4とN2O発生に与える影響を2014年に調査した。圃場試験では対照区とBiochar施用区(200 g/m2)を3反復で設け、ポット試験では対照区と3つのBiochar施用区(200(BC1), 400(BC2), 800 g/m2(BC3))をそれぞれ6反復で設けた。CH4とN2O発生量はクローズドチャンバー法を用いて測定し、収穫時には玄米収量を調べた。 圃場試験では、2年間の平均でCH4発生量が対照区で196 kgC/haであったのに対しBiochar施用区で200 kgC/haと両処理区間に差はなかった。同様にN2O発生量も対照区で0.078 kgN/haであったのに対し、Biochar施用区で0.060 kgN/haと両処理区間に差はなかった。一方で1年目はCH4とN2O発生量がBiochar施用区で低かったのに対し、2年目は逆にBiochar施用区で高かった。圃場試験では水田のCH4とN2Oに対するBiocharの施用の効果が年次で異なる可能性がある。玄米収量はBiochar施用区でわずかに高い傾向があったが有意差はなかった。 ポット試験では、CH4発生量は対照区(17.9 mgC/m2/day)よりもBC1~3区(それぞれ5.8、9.7、2.2 mgC/m2/day)で低い傾向にあった。またN2O発生量は対照区(-0.14mgC/m2/day)とBC1~3区(それぞれ0.02、-0.34、-0.17 mgC/m2/day)で有意差はなく明確な傾向もなかった。CH4とN2O発生をCO2当量で換算(CO2:CH4:N2O=1:25:298)した地球温暖化指数(GWP)は、対照区とBC1~3がそれぞれ0.47、0.21、0.01、-0.09gCO2eq/m2/dayであり、Biochar添加量増加に対して有意に低下した(GWP=0.575×0.996^BC-0.1, P<0.001, n=4)。Biocharの施用により難分解性の炭素が投入されるため、Biocharの施用はよりGWPを低下すると考えられた。
|