これまで対象としていたリン除去型浄化槽について、さらに実フィールド調査を継続し、鉄電解によるリン除去性能の長期安定性を検証する調査を実施した。槽内に汚泥が蓄積した場合などにおいて、処理水のSSやT-Nが増加する傾向にあったが、そうした場合においても処理水のリン酸態リンは低濃度であった。循環水量が著しく低下している場合においてはリン除去が不十分であったことから、浄化槽内でのリン除去には鉄電解量以外の要因も大きく影響することが明らかとなった。また、処理水を用いた回分実験や実フィールド調査において、Caを添加した鉄電解によるリン除去実験を実施した。それぞれの条件において、リン除去の向上に貢献し得るCa濃度の範囲を特定した。さらに、Caの添加に伴う電気伝導度の増加と電圧の減少を理論式から計算できることを明らかにした。このように、平成27年度は、これまでの放射光分析による鉄形態の解析に加え、実際のリン除去のために有用となる因子を明らかにした。
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