研究課題/領域番号 |
25740039
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
朝倉 宏 長崎大学, 大学院 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (00391061)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 硫化水素 / 硝酸塩 / 発生抑制 / 石膏ボード / 最終処分場 |
研究概要 |
本研究で遂行した研究内容は,以下のとおりである。廃棄物の最終処分場から頻繁に発生する硫化水素の発生抑制のために,ローテクノロジーかつローコストである硝酸塩を含む排水等を活用する方法を開発する。具体的には,硫化水素発生抑制に必要な硝酸塩の最少量を定量的に決定する。 本年度は,必要な硝酸塩の最少量を定量的に決定するため,硫化水素が発生している系に硝酸塩を添加し,硝酸が消費されていく量の変化の推移を測定した。イオンクロマトグラフィーを用いて,イオンの迅速かつ一斉分析を行った。添加した硝酸塩の効果の持続時間の考察のための実験まで進むことができた。つまり,現状の「硫化水素が発生している状態に,どの程度の量の硝酸塩を投入すると,硫化水素発生は停止するか」に加えて,「さらに発生の停止はどの程度の期間持続できるか=硝酸塩はどの程度の頻度で再投入すべきか」が検討できた。最少添加量に加えて,添加頻度を提案することは,硝酸塩による硫化水素発生抑制の現場適用のためになくてはならない情報である。 硫酸塩はカルシウム存在下でやや難溶性であり,簡単に飽和濃度に達する。この飽和濃度に対し,硝酸塩をモル比で0.4となるように添加したところ,硝酸は脱窒によって翌日には存在しなくなるものの,硫化水素の発生は10日間持続した。この結果は,硝酸塩を埋立地内へ間欠投入することによって,数日は硫化水素の発生を抑制できることを示している。現在は,硝酸濃度を一定に保つことによって硫化水素の発生が停止するかどうかの実験を継続中である。イオン分析によって,多数のシナリオにおける硫化水素発生抑制の効果の検証を行うことが可能となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
硝酸塩の添加による硫化水素発生抑制の持続時間について,異なる条件における抑制効果の複数のデータが取れており,目的はおよそ達成できていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は,薬品としての硝酸塩から脱却し,市場で不要となっている廃液・廃棄物に含まれる硝酸塩を利用する。すでに下水汚泥コンポストに含まれる硝酸塩による発生抑制効果検証の調査に進んでいる。
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