研究概要 |
平成25年度の実施計画であった浸透・拡散性の高い酸化促進剤の開発においては、まず先の研究で光劣化に効果が判明している紫外光利用型のTiO2/PEO系酸化促進剤を用いて実験を行った。しかしながら、TiO2/PEO系酸化促進剤は親水性であるため、疎水性のポリプロピレン(PP),ポリスチレン(PS)等のプラスチックには、浸透しにくいことが判明した。そのため、親油性である植物油やその成分の誘導体であるリノール酸メチル(ML)を用いることで、TiO2/PEO系酸化促進剤のみの場合より、大きく光分解性を高めることに成功した。その成果をJ. Appl. Polym. Sci., 2013, 126, 6, 3490-3496およびJ. Appl. Polym. Sci., 2014, 131, 4, 39909(1-8),に掲載し、国際会議であるAsian Polyolefin Workshop APO(Beijing, China, 2013, Oct.) 2013、全国大会である第62回高分子学会年次大会(京都, 2013, 5月)、第62回高分子討論会(金沢, 2013, 9月)、マテリアルライフ学会第24回研究発表会(京都, 2013, 7月)で発表した。次に可視光利用(応答)型の触媒については、J. Shang らによって報告されているTiO2に助触媒銅フタロシアニン(CuPc)を用いた触媒TiO2/CuPc(J. Shang, Environ. Sci. Technol. 2003, 37, 4494-4499)と上記のMLを用いて、可視光酸化促進剤TiO2/CuPc/PEO/MLを作製し、PSの可視光を多く含む蛍光灯で光酸化分解を行ったところ、TiO2/PEO/ML酸化促進剤に比べTiO2/CuPc/PEO/ML酸化促進剤を用いた方がより低分子量化することが判明した。
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