北海道黒松内町にて野外調査を行い、ミズゴケの成長量データ等を追加取得し、ミズゴケ生育モデルを改善可能な状態にした。また、北海道における泥炭土壌の分布と地形・気候の GISデータ等から構築した最大エントロピーモデルによってミズゴケが生育しやすいと考えられる場所を地図化するとともに、耕作放棄の情報と重ね合わせて湿地再生に適した場所を 可視化できる状態にした。さらに、通常の農作物の生産に関するデータも収集し、町内の耕作放棄地で農地を再開した場合と、湿地再生によってミズゴケ湿地が作成された場合で、得られる生態系サービスの一部(農業生産、ミズゴケの園芸資材としての生産等)がどのように異なるかを単純な仮定の下で検討可能な状態にした。 また、より水田等の陸水域を重視した景観不均一性指数が全国的にイトトンボ類の種数と正の相関があることが確認できたため、この指数を上記のミズゴケポテンシャル地図と重ね合わせることで、生物多様性の視点から重要度が高い場所を検討することも可能とした。 一方、生態系サービスや生物多様性の指標となる送粉昆虫やトンボ類を広域で省力的に調査するための手法の改良も行った。
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