昨年度に評価・抽出を実施した成果に基づき区分した、実質的に絶滅危惧植物の保全が図られている区域(「実質保護域」)に含まれる種を各絶滅危惧植物の生育地特性により整理し、実質保護域に含まれる種の割合が、生育地タイプにより異なることを明らかにした。さらに、規制強化によって、実質保護域に含まれる絶滅危惧植物種の割合の生育地タイプの不均衡が解消される程度についても検討した。これらにより、昨年度検討した特に規制強化が特に望まれる区域として選択された各区域の位置づけを明確にすることが出来た。さらに現状の保護区の状況では、国設の自然保護区域だけでは、愛知目標の目標11に定められてる「衡平な保護区の配置」を達成することが難しいことも確かめられた。既存の保護区域を規制強化することで、この不衡平は若干解消されるものの、依然として新たな区域拡張が望まれることも明らかとなった。併せて、整備したデータを用いて、効率的な保護区の配置検討に向けて、優先的に分布情報を収集・更新すべき種の特性についても分析を行った。得られた成果の一部は、保全生物学会や国際シンポジウム等において口頭発表するとともに国際雑誌へ投稿した。
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