本研究では、生物多様性の保全の要となる自然保護区を戦略的に設置する理論的枠組みの構築に資するため、見落とされていた規制が弱く実質的に多様性保全に寄与していない保護区域の規制強化、および生物の特性に基づく優先的に保全すべき対象の提示という観点から、保護区による保全の現状を評価し、保護区拡充の際に重視すべき対象を明らかにした。結果、既存の保護区の規制の強化は、全ての絶滅危惧植物を実質的に保全効果が期待できる区域に含めるには不十分であるが、生育地を保全効果が期待できる区域に含む種数を高める効果があることを確認した。また、更なる規制強化・区域拡張が必要な生育地タイプも明らかにした。
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