研究課題/領域番号 |
25740052
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井原 智彦 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (30392591)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 家計調査 / 産業連関表 / 電力需要 / 節電 |
研究実績の概要 |
昨年度実施しなかった、産業連関表と家計支出統計(家計調査および全国消費実態調査)の接続表の開発に取り組んだ。国民経済計算と家計調査の概念に関する既往研究(宇南山2009ほか)に基づき、産業連関表と家計支出統計それぞれの対象範囲を明確にした。続いて、カーボンフットプリントの算定対象としている食料品を対象に、産業連関表・家計支出統計ともに内容例示にまで踏み込んで、項目ごとの対応を実施した。食料品以外については、過去の作業結果を参照し、一通りの接続表を開発した。 別途、産業連関表に基づいて産業連関分析をおこない、産業部門ごとの電力需要原単位を求めた。これに、開発した接続表を用いることによって、家計支出統計の項目ごとの電力需要原単位を計算した。 これらを用いて、近年問題となっている家庭の電力消費を消費者属性別に分析した。その結果、ライフサイクルの観点では、二人以上の世帯では7646kWh電力を消費しており、うち直接的に使用した電力は60%であったが、間接消費は40%と小さくなく、割合が多い項目を列挙すると、食料(全体に対して12%)、交通・通信(8%)、教養娯楽(4%)であった。単身世帯では、さらに間接影響が大きく、間接消費の割合は46%、割合が多い項目は食料(14%)、交通・通信(10%)、教養娯楽(6%)であった。 都市別に分析したところ、小都市B・町村では食料や教養娯楽による間接消費が小さく、他の都市階級では大きかった。一方、交通・通信の都市階級による違いは小さかった。 以上から、直接電力以外の財・サービスの消費を抑えることも十分省エネにつながりうるといえる。また、都市階級によって間接消費の大きさが変化するため、省電力に向けては都市階級別の対策設計が有効であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
接続表の開発は完了したが、内容例示を紐解く作業には多くの作業時間を要求されたため、食料以外については内容例示に踏み込めなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、プログラムなどを用いてできるだけ作業を簡素化し、食料以外についても内容例示に踏み込んだ接続表の開発を目指したい。その上で、カーボンフットプリントの算定や消費者属性別のカーボンフットプリントの有効性を評価していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
接続表の開発が難航したため、使用予定額の大半を占める消費者調査がおこなえず、残額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に、接続表の開発とカーボンフットプリントの算定を終了し、消費者調査も実施する予定である。
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