本研究は、伝統的な地縁組織やコミュニティ活動が現在も維持されている歴史都市の京都市とベトナム国のフエ市、そして伝統的な地域コミュニティ活動がほとんど失われている都市である現代的都市の西宮とベトナム国のダナン市において、現地の行政と大学、NPOと連携して研究を行った。 研究1年目(平成25年度)には、地域環境における子供の安心・安全環境の阻害要因を整理するために、関連する先行文献や統計調査を通して、子供の安心・安全環境阻害要因(各地の子供が巻き込まれた犯罪、事故、自然災害被害などの被害状況を把握し、危険度とその要因)を明らかにした。そして、京都、西宮、フエ、ダナンの調査地域にて、地域住民、学校、行政等が参加したワークショップを開催し、地域環境の課題や危険を議論し、地域環境における子供の安心・安全環境阻害要因を明らかにした。 研究2年目(平成26年度)には、子供の安心・安全環境に資するコミュニティ機能の解明を行うために、地縁組織(自治会/町内会など)によるコミュニティ活動、祭礼、自主防災活動など、調査地区のコミュニティ活動を調査し、各地のコミュニティ内の交流関係、相互扶助関係を調査し、地域の安全性に寄与するコミュニティ機能の状況を明らかにした。またこの調査結果から明らかになった地域の危険性とコミュニティ機能の関係性を分析し、子供の安心・安全環境に資するコミュニティ機能を有効にする要因を明らかにした。これらの調査・分析結果から、西宮のESDプログラムを再構築し、子供の安心・安全環境に資するコミュニティ機能を持続するESDプログラムの構築を行い、パイロット事業を行った。 研究3年目(平成27年度)には、調査結果から、ベトナム版のESDプログラムをフエ市とダナン市でそれぞれ構築し、パイロット事業を行った。その実施結果を踏まえ、地域特性によるESDプログラムとその評価枠組みを整理した。
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