本研究は,気候変動に伴う環境質の変化による経済的影響を評価するために,自然環境の経済的価値を評価するモデルを組み込んだ応用一般均衡モデルを開発し,それを用いた数値実験を行うものである.本研究の知見は以下の通りである.①本研究のモデルは,部分均衡論アプローチから導出される消費者余剰では考慮されない価格変化及び所得変化を捉えることができる.②砂浜・干潟の侵食の経済的被害は,温暖化が進むと,北海道と東北地域を除くほとんどの地域で大きくなる.③気候変動適応策としての砂浜・干潟の侵食に対する養浜事業の効果は,温暖化が進むと,九州地方,近畿地方,瀬戸内海沿岸に属するいくつかの府県において効果的である.
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