研究課題/領域番号 |
25740067
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
南部 和香 青山学院大学, 社会情報学部, 助教 (00409426)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中古品 / 貿易 / E-waste / 家電 / パソコン / 資源性 |
研究概要 |
本研究の目的は、中古品の役割を明示的に取り入れたE-waste貿易における政策効果を検討することである。平成25年度は、研究計画に従い、中古家電の輸出に関連するデータの収集整理および先行研究のサーベイを行い、理論分析の枠組みを構築するとともに中古家電の輸出要因についてパネルデータ分析を行った。 パネルデータ分析では、日本から各国地域への中古家電4品目(テレビ(液晶およびブラウン管)、エアコン、冷蔵庫、洗濯機)の輸出関数を推定している。推定結果より、為替レートなどの価格要因が中古家電輸出に有意な影響を与えており、所得要因は有意でないことが示された。これは、国際的なリユースあるいはリサイクルにおける中継貿易の可能性を示唆する結果とも考えられ、今後の研究の発展につながる成果となった。また、中古エアコンと銅価格の定量的な関係が示されたことから、中古品の資源性についても検討することができた。これらは学会で報告され、学内紀要にまとめられている。 理論モデルにおいては、中古品の利用目的であるリユースとリサイクルの2つの性質を考慮したReusable marketをモデルに組み込む取り組みをすすめている。先行研究サーベイでは、輸出段階で中古品と分類される財にこれら2つの性質があることを明示的に取り入れているものはなく、こうした視点を取り入れることでより現実に則した理論モデルのもとで政策効果が検討できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中古品に関連するデータを収集整理し、中古家電の貿易に関するパネルデータ分析から価格や所得等の輸出要因の影響を定量的に示すことができたことに加え、推定結果より中古品貿易に中継貿易の視点を取り入れることでさらなる分析の発展が考えられるため。また、理論分析では、中古品の性質を明示的に取り入れた定性的な分析を行うための基礎的な枠組みができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の成果をもとに、研究目的の一つである中古品貿易に対する政策効果について定性的・定量的な分析を行い、持続可能な国際リユース・リサイクルシステムについて検討する。理論分析については、平成25年度の成果をもとに分析を進めて政策効果について検討する。実証分析については、必要に応じデータの更新を行い、平成25年度から着手している中古パソコン輸出の分析を行うとともに、理論分析で得られた定性的な結果について実証的側面からの分析および考察を加えていく。また、海外現地調査を行い、得られた知見を理論実証分析へフィードバックさせていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
現地研究者および研究協力者の日程調整の都合で、海外現地調査の実施が平成26年度になったため。平成26年度に実施予定の現地調査の日程は概ね決定している。また、研究協力者への協力依頼が春期休暇中であったため、謝金の支払いが平成26年度になったため。 旅費に関しては、使用計画に基づき学会報告および海外現地調査で使用する。海外現地調査については、日程が概ね決定しているため確実に実施される。また、人件費・謝金については、フィールドワークおよび理論分析での専門的知識の提供に対する研究協力者への支払いに用いる。物品については、プリンターおよび必要図書の購入に用いる。
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