研究課題/領域番号 |
25750007
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
加島 智子 近畿大学, 工学部, 講師 (30581219)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 農業情報システム / インタフェース / 使いやすさ / ユーザビリティ |
研究実績の概要 |
農業の経験と勘によるノウハウの蓄積,農作物の価値の向上を目指し,これまでに農家,消費者,直販所を繋ぐモデルを作り,コミュニケーションツールとしての情報システムの構築を行ってきた.しかし,農業従業者の6割以上が高齢者ということもあり,IT機器を活用する意識が低い.そこで本研究では,農業分野にITを積極的に導入できるよう高齢者が直観的に操作でき,継続的に利用可能なインタフェースデザインの研究を行っている.農家の安定経営や農産物の価値の向上のために,農業のノウハウの蓄積,消費者の情報の収集や,生産者からの情報発信などのIT技術は有力な手段であることは周知のことである.そのため,農業にITを活用した取り組みは数多く報告されている.しかし,今日,その多くの成功例を生まない大きな原因は,農家の人々にとって現状のITシステムでは使いにくいという問題と,必要な情報を簡単に取り出せないという問題がある.そこで,本研究では,iPadなどにみられる最新の直観的なインタフェースデザイン手法と,必要な人に必要な情報を必要な量だけ提示することのできる知的な情報推奨システムの研究開発により,前述の問題を解決をおこなっている. 具体的に本年度までは情報システムの開発,農業情報システムの仕組み作り、導入環境の構築などを行ってきた。また、システム利用時における生体情報の取得環境の構築を行っている。直観的なインタフェースをデザインするための原則も検討している。更に、数理計画問題をシステムの中に組み込むため、モデルづくりも行っている。 これらを国際会議、国内会議などで発表し有効性を議論している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画にあるシステムの開発や導入を想定した利用環境や仕組みなど適切であるか検証を行い結果をまとめ学会発表を行うことができた。学会に参加することで現状の問題点なども明確となり更なる改善が進んでいる。また、直観的なインタフェースをデザインするための10の原則を決定することができている。これにより今後の研究も予定通りに進めることが可能となっている。 更に、当初の計画にはなかったが、システムでの運用における問題を数理計画問題とし、モデルの作成を検討し進めている。これらのモデルも学会にて発表を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は計画予定にあるシステムのデザインやインタフェースについて実験を行い、必要な情報を明らかにし、情報推奨を行う。 具体的には、IT機器を普段利用しない高齢者に最適なレイアウトデザインを明らかにする。実際に高齢者にIT機器を利用してもらいどのような場面で困難な状況が発生しているのか整体信号、特にアイトラッキングテストを用いて原因要素を明らかにする。表示画面の見ている部位を測定することで高齢者が困難と感じているインタフェースの特徴ルールを数値的に分析を行い明らかにする。その後、実際の利用を想定して農作業の合間に情報発信が可能となるシステムの仕組み、操作時間、入力回数などを検証する。特に直観とされている情報発信を行うまでのステップ数を減らすためのインタフェースの工夫や仕組みの導入を検討する。 更に、農家がITを利用して知りたい、閲覧したいと思う情報の要因を明らかにする。これまでITを活用していない利用者にとって本当に必要な情報が何かをあきらかにするため農家の必要な情報ルールを抽出可能なアルゴリズムを確立する。現在は、POSデータから売れ行き情報など多くの情報獲得が可能となっている。しかし、多くの情報をすべて提示するのではなく、必要な人に必要な情報を必要な量だけ提示することで利用価値の高いシステムを目指す。これらを明らかにし、新たなシステム構築を行いその評価実験から実現性を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
産前産後の休暇又は育児休業による中断を行ったため。 (平成26年7月1日~平成27年8月7日)
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次年度使用額の使用計画 |
研究中断中に行うことができなかった研究を行う。 具体的には、システム開発を行いその後、実地実験を行うことが計画されている。それらに係わる実験機器、開発環境、被験者への謝礼などに使用する予定である。 また、研究の成果報告や情報収集をおこなうために国際会議、国内会議、研究会に参加を行う予定であり、その旅費、参加費などに使用する予定である。
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