研究課題/領域番号 |
25750012
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
鈴木 奈穂美 専修大学, 経済学部, 准教授 (10386302)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 介護者支援 / インフォーマルケア / 介護者 / ワークライフバランス / 福祉多元主義 |
研究概要 |
インフォーマルケアに従事している介護者の就労・生活実態の把握と介護者のワーク・ライフ・バランスの実現に向けた支援の在り方の検証のため、2013年度は以下3項目に関する研究を進めた。 (1)先行研究のレビューや、介護者支援に取り組んでいる民間団体の支援対象範囲などから、インフォーマルケアに従事している「介護者」の定義を検証した。この検討を通じ、以下の点に配慮することが必要であるという知見が得られた。つまり、日本では「介護」というと老親介護と捉えられることが多いものの、障がい者・児や難病患者など、年齢や疾患の部位などに関係なく「介護」を要する者に対してインフォーマルなケアを提供している者を「介護者」として横断的にとらえることが、包括的な介護者支援施策を整備することが必要である。 (2)政府統計や各種先行調査の結果を用いて、インフォーマルケアの従事している介護者の実態を整理した。また、2005年~2013年度の朝日新聞と日本経済新聞に掲載された介護者に関する新聞記事を分析した。新聞記事分析では、さらに、介護者の実態のみならず、介護者支援の実情も把握することもできた。年を追うごとに各地で家族会や介護者支援組織が主催する介護者を対象とした講演会・研修会が各地で開催されていた。この背景には、高齢者虐待防止法の制定や、地域包括ケアの推進などがある。介護者が介護を理由に社会から孤立せずに社会生活が営めるような環境整備が草の根的な市民運動から発信されていたことがわかった。 (3)日本政府の介護者支援の動向とともに、各自治体で行われている施策等の整理をした。そのうち、埼玉県内で先進的な取り組みが行われていたことから、関連資料の収集を行った。さらに、高齢者介護以外の介護者支援の実態を把握するため、高次脳機能障害支援に関わっている専門家にヒアリングをおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新聞記事分析には、研究補助のアルバイトとともに進めているが、当初の見当よりも多くの時間が費やされており、計画していた期間の詳細分析まで至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新聞記事分析を進めていき、介護保険制度の開始前後の「介護者」「介護者支援」の動向をとらえていくとともに、日本の介護者・介護者支援の理解を深めるため、海外の介護者と介護者支援の動向を整理する。また、介護者の社会的位置づけを明確にするため、福祉国家・福祉多元主義に関する研究領域で、インフォーマル・ケアがどのように認識されているのかについて検討していく。さらに、介護者支援団体や過去に介護を行っていた介護者支援ボランティアらに対してインタビュー調査を実施し、インフォーマルケアに携わっている介護者が社会生活を営む上での阻害要因について検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
先進的な介護者支援の取り組みをしている団体への調査・活動家からのレクチャーをもう1か所実施する予定であったが、出張旅費と専門的知識の供与の予算が足らず、次年度に実施を見送ったため。 繰り越した研究費は、先進的な介護者支援の取り組みをしている団体への調査・活動家からのレクチャーを実施するため、不足分を次年度の研究費から補い使用する。
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